事業承継対策(全21問中2問目)

No.2

「非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例(特例措置)」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
2024年5月試験 問50
  1. 本特例の適用を受けるためには、相続開始日の翌日から5カ月を経過する日までに、会社、後継者、先代経営者のそれぞれの要件を満たしていることについて都道府県知事の認定を受けなければならない。
  2. 相続開始前に後継者が既に発行済株式総数の3分の2以上の当該非上場株式を保有していた場合、本特例の適用を受けることはできない。
  3. 特例経営承継期間の経過後に後継者が会社の代表権を有しなくなった場合、特例経営承継期間を経過した日から後継者が会社の代表権を有しなくなった日までの期間に応じて、納税が猶予された相続税額のうち一定の金額を納付しなければならない。
  4. 特例経営承継期間中は毎年、その期間経過後は3年ごとに、継続届出書を所轄税務署長に提出しなければならない。

正解 4

問題難易度
肢115.3%
肢28.2%
肢323.0%
肢453.5%

解説

  1. 不適切。5か月ではありません。本特例の適用を受けるためには、会社・後継者・先代経営者が特例の要件を満たすことにつき都道府県知事の認定を受ける必要があります。この認定のための申請書の提出は、原則として相続開始後8か月以内に行う必要があります(円滑化法規則7条2項)。
    本特例の適用を受けるためには、原則として、相続開始日の翌日から5カ月を経過する日までに、会社、後継者、先代経営者のそれぞれの要件を満たしていることについて主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事の認定を受けなければならない。2016.1-50-1
    本特例の適用を受けるためには、後継者は、相続開始日の翌日から5カ月を経過する日において会社の代表権を有し、かつ、被相続人の親族でなければならない。2016.1-50-2
  2. 不適切。一般措置では納税猶予の限度が総株式数の3分の2ですが、2026年(令和8年)3月31日までに特例承継計画を提出することにより特例措置となり、全株式について相続税の納税が猶予されます。このため、後継者がすでに3分の2以上の株式を有していた場合でも、納税猶予の対象となる部分があります。
    相続開始前に後継者がすでに発行済議決権株式総数の3分の2以上の当該非上場株式を保有していた場合、本特例の対象となる株式はない。2016.1-50-3
  3. 不適切。経営承継期間(原則として申告期限の翌日から5年間)は、代表者であることと本特例の適用を受けた株式を保有していることが必要ですが、経営承継期間の経過後は株式の保有継続等の要件を満たせば、後継者が死亡等するまで納税猶予が継続して適用されます。したがって、経営承継期間後に代表権を有しなくなっても猶予税額を納付する必要はありません。
  4. [適切]。本特例の適用を受けた後継者は、経営承継期間中は1年ごと、期間経過後は3年ごとに、引き続き本特例の適用を受けたい旨と認定承継会社の経営に関する事項を記載した継続届出書を所轄税務署長に提出しなければなりません。継続届出書の提出がない場合は、猶予が打ち切られます。
したがって適切な記述は[4]です。