FP1級過去問題 2016年1月学科試験 問50(改題)

問50

2023年中の相続に係る「非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 本特例の適用を受けるためには、原則として、相続開始日の翌日から5カ月を経過する日までに、会社、後継者、先代経営者のそれぞれの要件を満たしていることについて主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事の認定を受けなければならない。
  2. 本特例の適用を受けるためには、後継者は、相続開始日の翌日から5カ月を経過する日において会社の代表権を有し、かつ、被相続人の親族でなければならない。
  3. 相続開始前に後継者がすでに発行済議決権株式総数の3分の2以上の当該非上場株式を保有していた場合、本特例の対象となる株式はない。
  4. 本特例の適用を受けた場合、後継者が納付すべき相続税額のうち、本特例の対象となる非上場株式に対応する相続税の全額の納税が猶予される。

正解 4

問題難易度
肢18.9%
肢26.3%
肢322.0%
肢462.8%

解説

  1. 不適切。本特例の適用を受けるためには、会社・後継者・先代経営者が特例の要件を満たすことにつき都道府県知事の認定を受ける必要があります。この認定のための申請書の提出は、原則として相続開始後8か月以内に行う必要があります。
  2. 不適切。後継者は、相続開始の日の翌日から5か月を経過する日において会社の代表権を有していること、相続開始時に総議決権数の50%以上を有している必要がありますが、必ずしも被相続人の親族である必要はありません。
    本特例の適用を受けるためには、後継者である経営承継相続人等は、相続の開始の時において18歳以上であり、かつ、認定承継会社の役員であり、相続開始日の翌日から5カ月を経過する日において認定承継会社の代表権を有していなければならない。2017.9-50-1
    本特例の適用を受けるためには、後継者である経営承継相続人等は、「被相続人の親族であること」「相続開始の直前において役員であったこと」「相続開始の日において18歳以上であること」等、所定の要件を満たす必要がある。2014.9-47-1
  3. 不適切。2026年(令和8年)3月31日までに5年以内の特例承継計画の提出することにより特例措置となり、全株式100%について相続税が猶予されます。よって、既に後継者が3分の2以上の株式を有していた場合でも、納税猶予の対象となる部分があります。
  4. [適切]。2026年(令和8年)3月31日までに5年以内の特例承継計画の提出することにより特例措置となり、全株式100%について相続税が猶予されます。
    相続または遺贈により特定事業用資産を取得した相続人が本制度の適用を受けた場合、当該相続人が納付すべき相続税額のうち、本制度の適用を受ける特定事業用資産の課税価格に対応する相続税額の全額の納税が猶予される。2019.9-50-4
    本特例の適用を受けた場合、後継者である経営承継相続人等が納付すべき相続税額のうち、本特例の対象となる非上場株式等に係る課税価格の3分の2相当額に対応する相続税額の納税が猶予される。2017.9-50-2
したがって適切な記述は[3]です。