FP1級過去問題 2014年1月学科試験 問26

問26

居住者に係る所得税の譲渡所得の基因となる資産の「取得の日」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 住宅ローンを利用して購入し、引き続き居住している家屋の「取得の日」は、住宅ローンの完済後に所有権移転登記を行った日となる。
  2. 自ら建設した家屋の「取得の日」は、当該家屋に係る所有権保存登記を行った日となる。
  3. 借地権者が、その借地権の設定されている土地(底地)を取得した場合、その土地(借地権および底地)の「取得の日」は、当該借地権を取得した日となる。
  4. 子が実父からの贈与によって取得した資産を譲渡した場合の当該資産の「取得の日」は、原則として、贈与者である実父が取得した日を引き継ぐことになる。

正解 4

問題難易度
肢13.0%
肢217.1%
肢324.7%
肢455.2%

解説

  1. 不適切。「取得の日」は、資産の引渡しを受けた日になるのが原則で、納税者の選択により契約の効力発生日とすることもできます。したがって、家屋の引渡しを受けた日が取得の日となります。本肢のように所有権留保特約が付いた住宅ローンであっても変わりません(所基通36-12)。
  2. 不適切。自ら建築した家屋については、当該建築が完了した日が「取得の日」となります。引渡し日が取得日となるのは、他人に請け負わせて建築等した資産です(所基通33-9)。
    工務店に請け負わせて建築した家屋の「取得の日」は、当該家屋の建築が完了した日となる。2023.5-27-3
  3. 不適切。借地権者が権利の目的となっている底地を取得した場合、2つの取得日が併存する形になります。すなわち、底地部分については取得した日が「取得の日」となり、借地権の対象だった部分はその借地権を取得した日が「取得の日」となります(所基通33-10)。
    借地権者が、その借地権の設定されている土地の所有権(底地)を取得した場合、借地権の部分と底地の部分とに区分し、それぞれ「取得の日」を判定する。2023.5-27-1
  4. [適切]。相続(限定承認を除く)や贈与によって資産を取得した場合、被相続人や贈与者の「取得の日」がそのまま取得した相続人や受贈者に引き継がれます(所得税法60条)。
したがって適切な記述は[4]です。