FP1級過去問題 2014年9月学科試験 問1(改題)

問1

全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者に係る給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 被保険者が、2023年9月に産科医療補償制度に加入する医療機関で予定どおりに出産した場合の出産育児一時金の額は、1児につき50万円である。
  2. 70歳未満の被保険者が、保険者から交付された「健康保険限度額適用認定証」と被保険者証を医療機関の窓口に提示した場合は、高額療養費の現物給付が行われ、窓口での一部負担金等の支払を高額療養費の自己負担限度額にとどめることができる。
  3. 傷病手当金は、事業主から報酬を受けることができる者には、その報酬の額の多寡にかかわらず、支給されない。
  4. 被保険者が死亡(業務外)したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行う者に対し、埋葬料として5万円が支給される。

正解 3

問題難易度
肢12.1%
肢25.3%
肢388.5%
肢44.1%

解説

  1. 適切。被保険者が出産したときに支給されるのが出産育児一時金、被扶養者が出産したときに支給されるのが家族出産育児一時金です(健保法101条、同114条)。どちらも支給額は同じで産科医療補償制度に加入している病院等で出産した場合には1児につき50万円、それ以外の施設での出産の場合には1児につき48万8,000円です(健保法令36条)。
    Aさんの妻が産科医療補償制度に加入している医療機関で予定日に出産した場合、Aさんは、所定の手続により、家族出産育児一時金として一児につき50万円を受け取ることができる。2022.1-2-3
    Aさんが産科医療補償制度に加入している医療機関で出産した場合は、所定の手続により、全国健康保険協会管掌健康保険から1児につき50万円の出産育児一時金の支給を受けることができる。2020.9-1-2
    Aさんの妻が産科医療補償制度に加入している医療機関で予定日に出産した場合、Aさんは、所定の手続により、家族出産育児一時金として一児につき50万円を受け取ることができる。2015.10-2-3
    産科医療補償制度に加入している病院において、被保険者が出産した場合は出産育児一時金として50万円が支給され、被保険者の被扶養者が出産した場合は家族出産育児一時金として48万8,000円が支給される。2015.9-2-4
  2. 適切。高額療養費は、同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合に、自己負担限度額を超えた分が後で払い戻される制度ですが、医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、保険者の認定を受けて「限度額適用認定証」を提示すれば窓口の支払いは自己負担分だけになるので、負担が軽くなります(健保法令43条)。
    70歳未満の被保険者が、保険者から交付された「健康保険限度額適用認定証」と被保険者証を医療機関の窓口に提示した場合は、窓口での一部負担金等の支払を自己負担限度額(高額療養費算定基準額)にとどめることができる。2018.9-2-4
  3. [不適切]。傷病手当金の支給期間中に報酬を受けている場合でも、その報酬額が傷病手当金の額に満たないときにはその差額が支給されます(健保法109条1項)。
  4. 適切。埋葬料の金額は5万円で、被保険者が業務外の事由で死亡したときに、その者により生計を維持していた者であって埋葬を行うものに対し支給されます(健保法令100条1項)。業務上の事由による死亡の場合には労災保険から葬祭料の給付があるので、埋葬料の支給はありません(健保法55条1項)。
    被保険者が死亡した場合は、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行う者に対し、埋葬料として10万円が支給される。2015.9-2-3
したがって不適切な記述は[3]です。