FP1級過去問題 2014年9月学科試験 問4

問4

国民年金の給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 国民年金の第1号被保険者として32年間、国民年金の定額保険料に加えて付加保険料を納付してきた父が、老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けることなく死亡し、父と生計を同じくしていた遺族が22歳の子のみの場合、当該子に対して支給される死亡一時金の額は、37万円に1万円を加算した額となる。
  2. 国民年金の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間が10年、保険料半額免除期間が6年ある者が死亡し、その遺族に死亡一時金が支給される場合、その額は12万円である。
  3. 国民年金の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上ある夫が、老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けることなく死亡した場合、夫によって生計を維持し、かつ、夫との婚姻期間が8年間継続していた63歳の妻は、寡婦年金を請求することができる。
  4. 死亡一時金の支給を受けることができる者が、同一人の死亡により寡婦年金を受けることができるときは、併給調整されず、両方を受け取ることができる。

正解 2

問題難易度
肢115.2%
肢243.2%
肢317.4%
肢424.2%

解説

  1. 不適切。37万円に1万円を加算した額ではありません。死亡一時金は、保険料の掛け捨てを防止するための給付で、第1号被保険者としての保険料納付済期間が36月以上ある人が、老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取らずに死亡し、生計を一にしていた遺族が遺族基礎年金を受給できない場合に支給されます(国年法52条の2)。
    22歳の子は遺族基礎年金を受給できないので、申請により死亡一時金を受け取ることができます。死亡一時金の額は下表のとおりとなっており、国民年金保険料を32年間(384月)納付した者は27万円、付加保険料納付済月数が36月以上ある者に対する加算額は8,500円です。
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    国民年金の第1号被保険者として8年間保険料を納付してきた子(28歳)が、障害基礎年金の支給を受けることなく死亡した場合、生計を同じくしていた母親(55歳)は、死亡一時金を受給することができる。2022.5-6-4
    国民年金の第1号被保険者として30年間、保険料を納付してきたAさん(50歳)が、障害基礎年金の支給を受けることなく死亡した。Aさんと生計を同じくしていた遺族が22歳の子のみの場合、所定の手続により、その子は死亡一時金の支給を受けることができる。2015.1-3-1
  2. [適切]。保険料半額免除期間は2分の1が納付済月数として算入されるので、死亡一時金の額の算定に係る保険料納付済期間は「10年+6年×1/2=13年」となります。保険料納付済期間が3年以上15年未満の者に対する死亡一時金の額は12万円です(肢1の図解参照)。
    厚生年金保険の被保険者が死亡し、その者に国民年金の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間が36月以上あった場合、所定の要件を満たす遺族は、遺族厚生年金および死亡一時金の支給を受けることができる。2019.9-5-1
  3. 不適切。婚姻期間が10年未満なので支給されません。寡婦年金は、第1号被保険者としての保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上ある夫が、老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取らずに死亡した場合に、その夫に生計を維持されていた婚姻関係(事実婚関係含む)10年以上の妻に対して、60歳から65歳到達月まで支給されます(国年法49条1項)。本肢の妻(婚姻期間8年間)は婚姻期間の要件を満たさないので、寡婦年金の支給はありません。
    国民年金の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間が10年以上ある夫(62歳)が、老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けることなく死亡した場合、夫との婚姻期間が10年以上あり、生計を維持されていた妻(58歳)は、夫が死亡した日の属する月の翌月から5年間、寡婦年金を受給することができる。2022.5-6-3
    国民年金の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が24年6カ月の夫(55歳)が死亡した場合、夫との婚姻期間が19年6カ月あり、生計を維持されていた妻(61歳)は、寡婦年金を受給することができる。2021.9-5-2
    国民年金の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間が25年以上である夫が死亡し、寡婦年金の受給権を取得した妻(60歳)が、繰上げ請求により老齢基礎年金の受給権を取得した場合、寡婦年金の年金額の全部または一部が支給停止となる。2017.1-4-2
    国民年金の第1号被保険者として38年間、保険料を納付してきたBさん(58歳)が、再婚して13年目に障害基礎年金の支給を受けることなく死亡した。この場合、Bさんと生計維持関係にあった妻(61歳)が寡婦年金の受給権を取得した場合、Bさんの妻に対する寡婦年金の支給は、原則として受給権発生月の翌月から65歳に達するまでである。2015.1-3-2
  4. 不適切。死亡一時金と寡婦年金の両方を受けることができる妻は、どちらかを選択して支給を受けます。両方を受け取ることはできません(国年法52条の5)。
したがって適切な記述は[2]です。