FP1級過去問題 2014年9月学科試験 問34

問34

不動産登記に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 不動産売買契約により所有権移転登記をする前に、売主が当該不動産を第三者に譲渡し、第三者に所有権移転登記をした場合、当初の買主はその第三者に対して所有権の取得を対抗することができない。
  2. 合筆しようとしている2筆の土地のうち、1筆のみに抵当権の登記がある場合、抵当権者の承諾書を添付すれば、合筆の登記をすることができる。
  3. 登記事項証明書の権利部の甲区には、所有権の保存、移転およびこれらの仮登記ならびに差押等の所有権に関する事項が記載されている。
  4. 仮登記の登記上の利害関係人は、仮登記の登記名義人の承諾がある場合、単独で仮登記の抹消を申請することができる。

正解 2

問題難易度
肢15.3%
肢275.4%
肢38.1%
肢411.2%

解説

  1. 適切。不動産に関する物権の得喪・変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することはできません。二重譲渡があった場合、先に登記を備えた方が所有権を主張できます。よって、当初の買主は所有権移転登記を備えた第三者に対抗することはできません。
    不動産の売買契約の締結後、買主への所有権移転登記をする前に、売主が当該不動産を買主以外の第三者に譲渡し、第三者が所有権移転登記をした場合、当初の買主はその第三者に対して所有権の取得を対抗することができる。2022.9-34-1
    売主から不動産を購入した買主がその所有権移転登記をする前に、第三者が当該売主から当該不動産を購入して所有権移転登記をした場合、第三者が当初の売買があった事実を知らなかったときは、当初の買主は第三者に対して所有権の取得を対抗することができる。2019.5-34-4
  2. [不適切]。合筆の登記は以下の場合にはすることができません。
    1. 相互に接続していない土地
    2. 地目又は地番区域が相互に異なる土地
    3. 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地
    4. 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地
    5. 所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地
    6. 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地
    抵当権の設定がある場合は最後の事由に該当するため、合筆の登記をすることができません。抵当権者の承諾があってもダメです。
    合筆しようとしている2筆の土地のうち、1筆のみに抵当権の設定の登記がある場合、抵当権者の承諾書を添付すれば、合筆の登記をすることができる。2022.5-34-3
    合筆しようとしている2筆の土地のうち、1筆のみに抵当権の登記がある場合、抵当権者の承諾書を添付すれば、合筆の登記をすることができる。2021.9-34-2
    合筆しようとしている2筆の土地のうち、1筆のみに抵当権の登記がある場合、抵当権者の承諾書を添付すれば、合筆の登記をすることができる。2017.1-34-2
    合筆しようとしている二筆の土地のうち、一筆に抵当権の登記がある場合、抵当権者の承諾書を添付しても、合筆の登記をすることはできない。2015.10-34-2
    合筆しようとしている2筆の土地のうち、1筆に抵当権の登記がある場合、抵当権者の承諾書を添付しても、合筆の登記をすることはできない。2014.1-34-3
  3. 適切。権利部甲区は所有権に関する事項について、権利部乙区は所有権以外の権利に関する事項が記載されます。差押えの登記が記載されるのは、権利部甲区です。
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  4. 適切。仮登記は、原則として登記義務者と登記権利者の共同申請ですが、登記義務者の承諾があるときは、登記権利者が単独で申請することができます。
    仮登記の抹消の申請は、仮登記の登記名義人の承諾がある場合、仮登記の登記上の利害関係人が単独で行うことができる。2021.9-34-3
    仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるときは、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。2019.1-34-2
    仮登記の抹消の申請は、仮登記の登記名義人の承諾がある場合、仮登記の登記上の利害関係人が単独で行うことができる。2015.1-34-1
したがって不適切な記述は[2]です。