FP1級過去問題 2015年1月学科試験 問39

問39

「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 本特例の適用を受けた場合、居住用財産の譲渡により生じた譲渡損失の金額については、譲渡損失が生じた年分の他の所得の金額との損益通算および譲渡した年の翌年以降5年以内の各年分の総所得金額等からの繰越控除が認められる。
  2. 本特例の繰越控除の適用を受けるためには、原則として、その適用を受けようとする年の1月1日において、譲渡資産に係る一定の住宅借入金等を有していることが必要である。
  3. 譲渡資産のうちに家屋の敷地である土地等でその面積が240㎡を超えるものがある場合、譲渡損失の金額のうち240㎡を超える部分に相当する金額は、繰越控除の適用対象とはならない。
  4. 本特例の適用対象となる買換資産は、家屋については床面積が50㎡以上のものに限定されているが、その家屋の敷地である土地等の面積についての制限はない。

正解 4

問題難易度
肢19.0%
肢219.6%
肢322.1%
肢449.3%

解説

居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除は、マイホームを買い換えた際に旧宅の譲渡によって譲渡損失が生じた場合に、通常は分離課税であるその損失を他の所得から控除(損益通算)でき、その年に控除しきれなかった額は翌年以後3年以内の各年の総所得金額等から控除できる特例措置です。主な適用要件は次のとおりです。
  1. 譲渡した年、または家屋を取り壊した年の1月1日時点で所有期間が5年超であること
  2. 住んでいる家を売るか、住まなくなった日から3年後の12月31日までに売ること
  3. 新宅の居住用に供する床面積が50㎡以上であること
  4. 新宅を取得した年の12月31日までに居住開始(見込み含む)しており、その年の12月31日において新宅について償還期間10年以上の住宅ローンを有すること
  5. (繰越控除だけの要件)
    適用は敷地面積500㎡以下の部分に限る
    適用を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下
  1. 不適切。5年ではありません。本特例で繰越控除が認められるのは翌年以後3年以内です。
  2. 不適切。譲渡資産に係る住宅ローンではありません。本特例の適用を受けるためには、買換資産(新宅)を取得した年の12月31日において買換資産について償還期間10年以上の住宅ローンを有することが要件となっています。
    本特例の適用を受けて繰り越した譲渡損失の金額を、2024年分の総所得金額等から控除するためには、2024年12月31日において譲渡資産に係る住宅借入金の残高がなければならない。2021.5-40-3
  3. 不適切。240㎡ではありません。繰越控除の対象外となるのは、譲渡資産(旧宅)の敷地面積が500㎡を超える部分の損失額です。
  4. [適切]。買換資産(新宅)の敷地面積については要件がありません。「買換え資産の課税の特例」では新宅の敷地面積が500㎡以下でなければなりませんが、損益通算&繰越控除では特に制限はありません。ただし、敷地面積500㎡以上の部分に相当する額は繰越控除の対象外となります。
したがって適切な記述は[4]です。