FP1級過去問題 2015年1月学科試験 問48

問48

個人が所有する金融資産に係る相続税評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 金融商品取引所に上場されている株式は、原則として上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格、または課税時期の属する月以前3カ月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうち最も低い価額によって評価する。
  2. 金融商品取引所に上場されている株式の相続税評価において、課税時期の属する月に権利落ちの日があり、課税時期が株式の割当て等の基準日以前である場合、その月の最終価格の平均額は、その月の初日から権利落ちの日の前日までの毎日の最終価格の平均額とする。
  3. 金融商品取引所に上場されている不動産投資信託の受益証券は、原則として、1口ごとに評価するものとし、上場株式の評価の定めに準じて評価する。
  4. 個人向け国債は、原則として、発行価額と源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額との合計額によって評価する。

正解 4

問題難易度
肢111.5%
肢215.6%
肢311.5%
肢461.4%

解説

  1. 適切。上場株式は、以下の4つの価格のうち最も低い金額を基準に計算します。
    • 課税時期の最終価格
    • 課税時期の属する月の毎日の最終価格の平均
    • 課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均
    • 課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均
    金融商品取引所に上場されている不動産投資法人の投資証券の価額は、原則として、課税時期の最終価格、課税時期の属する月以前3カ月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうち最も低い価額によって評価する。2023.5-48-2
    被相続人が銀行で購入した証券投資信託は、原則として、課税時期の1口当たりの基準価額または課税時期の属する月以前3カ月間の毎日の1口当たりの基準価額の各月ごとの平均額のうち最も低い価額に所有口数を乗じた金額により評価する。2022.1-49-2
    金融商品取引所に上場されている不動産投資法人の投資証券の価額は、原則として、課税時期の最終価格または課税時期の属する月以前3カ月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうち最も低い価額によって評価する。2018.9-47-4
    金融商品取引所に上場されている不動産投資法人の投資証券は、原則として、課税時期における当該不動産投資法人の1口当たりの純資産額に口数を乗じて得た金額によって評価する。2017.1-48-1
    国内の2以上の金融商品取引所に上場されている株式は、原則として、納税義務者が選択した金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格または課税時期の属する月以前3カ月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうち最も低い価額によって評価する。2017.1-48-2
  2. 適切。課税時期が、増資等に係る権利落ちの日から株式の割当て等の基準日以前の間にある場合、上場株式の相続性評価にあたり用いる課税時期の最終価格は「権利付き最終日の最終価格」、課税時期の属する月の平均額は「その月の初日から権利付き最終日までの平均額」を使います。権利落等後は株式価格が下落するので、その下落した価格を使うのは公平ありませんよね。
  3. 適切。上場されている不動産投資法人の受益証券は、1口ごと上場株式の評価方法に準じて、すなわち課税時期の最終価格またはそれ以前3カ月間の最終価格の平均額のうち、最も低い価額によって評価します。上場されていないものは、課税時期の1口当たりの純資産額に口数を乗じて得た金額によって評価します。
  4. [不適切]。個人向け国債は、課税時期において中途換金した場合に取扱機関から支払いを受けることができる価額により評価します。具体的には「額面金額+経過利子相当額-中途換金調整額」で算定されます。通常の上場されていない利付公社債の評価方法と比較すると、実際に受け取る金額で評価するため中途換金調整額を差し引く部分が異なっています。
    金融商品取引所に上場されている利付公社債の価額は、原則として、課税時期の最終価格と源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額との合計額によって評価する。2023.5-48-1
    金融商品取引所に上場されている利付公社債の価額は、原則として、課税時期の最終価格と源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額との合計額によって評価する。2018.9-47-2
    個人向け国債の価額は、原則として、発行価額と源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額との合計額によって評価する。2018.9-47-3
したがって不適切な記述は[4]です。