FP1級過去問題 2015年10月学科試験 問2(改題)

問2

自営業者であるAさん(35歳)は、全国健康保険協会管掌健康保険の任意継続被保険者である。また、Aさんには2023年12月10日に出産予定の妻がおり、妻はAさんが加入する健康保険の被扶養者である。Aさんが今後受けられる保険給付等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. Aさんの健康保険の保険料は、Aさんの収入月額と全国健康保険協会が管掌する全被保険者の標準報酬月額の平均額のいずれか少ないほうの金額に一般保険料率を乗じて算出される。
  2. Aさんが病気により入院し、業務を遂行することができなくなった場合、Aさんは、所定の手続により、業務を遂行することができなくなった日から起算して4日目以降、通算で1年6カ月間、傷病手当金の支給を受けることができる。
  3. Aさんの妻が産科医療補償制度に加入している医療機関で予定日に出産した場合、Aさんは、所定の手続により、家族出産育児一時金として一児につき50万円を受け取ることができる。
  4. Aさんは、健康保険の被保険者資格を取得する場合を除き、任意継続被保険者となった日から起算して3年を経過した日の翌日に任意継続被保険者の資格を喪失し、その後は国民健康保険の被保険者となる。

正解 3

解説

  1. 不適切。収入月額ではありません。任意継続被保険者の保険料は、以下のいずれか少ない方の額を標準報酬月額とし、それに一般保険料率を乗じて算出されます(健保法47条)。
    • 資格を喪失したときの標準報酬月額
    • 前年の9月30日における協会けんぽの被保険者の標準報酬月額の平均額
    任意継続被保険者の保険料の基準となる標準報酬月額は、被保険者資格喪失時の標準報酬月額と、全国健康保険協会の全被保険者の標準報酬月額を平均した額を報酬月額とみなしたときの標準報酬月額のいずれか多い額となる。2022.1-2-1
    任意継続被保険者の標準報酬月額は、当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額と、全国健康保険協会の全被保険者の標準報酬月額を平均した額を報酬月額とみなしたときの標準報酬月額とのうち、いずれか多い額となる。2016.9-1-3
  2. 不適切。任意継続被保険者は、資格喪失の際に受給している場合の継続給付を除き、傷病手当金や出産手当金を受け取ることはできません(健保法99条)。
  3. [適切]。任意継続被保険者も被保険者が出産したときには出産育児一時金、被扶養者が出産したときに家族出産育児一時金が支給されます。どちらも支給額は同じで産科医療補償制度に加入している病院等で出産した場合には1児につき50万円、それ以外の施設での出産の場合には1児につき48万8,000円です(健保法101条)。
    Aさんの妻が産科医療補償制度に加入している医療機関で予定日に出産した場合、Aさんは、所定の手続により、家族出産育児一時金として一児につき50万円を受け取ることができる。2022.1-2-3
    Aさんが産科医療補償制度に加入している医療機関で出産した場合は、所定の手続により、全国健康保険協会管掌健康保険から1児につき50万円の出産育児一時金の支給を受けることができる。2020.9-1-2
    産科医療補償制度に加入している病院において、被保険者が出産した場合は出産育児一時金として50万円が支給され、被保険者の被扶養者が出産した場合は家族出産育児一時金として48万8,000円が支給される。2015.9-2-4
    被保険者が、2023年9月に産科医療補償制度に加入する医療機関で予定どおりに出産した場合の出産育児一時金の額は、1児につき50万円である。2014.9-1-1
  4. 不適切。3年ではありません。任意継続被保険者が資格を喪失するのは、任意継続被保険者となった日から起算して2年を経過したときです(健保法38条)。
したがって適切な記述は[3]です。