FP1級過去問題 2015年10月学科試験 問5

問5

妻は夫が受給する老齢厚生年金の加給年金額の対象者である。この場合、配偶者に係る加給年金額の特別加算の額と妻に支給される老齢基礎年金に加算される振替加算の額に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 配偶者に係る加給年金額の特別加算の額および振替加算の額は、いずれも夫の生年月日に応じて決められている。
  2. 配偶者に係る加給年金額の特別加算の額および振替加算の額は、いずれも妻の生年月日に応じて決められている。
  3. 配偶者に係る加給年金額の特別加算の額は夫の生年月日に応じて決められており、振替加算の額は妻の生年月日に応じて決められている。
  4. 配偶者に係る加給年金額の特別加算の額は妻の生年月日に応じて決められており、振替加算の額は夫の生年月日に応じて決められている。

正解 3

解説

【加給年金額の特別加算について】
配偶者が加給年金額の対象家族となっている場合に、加給年金額に一定額が加算される制度です。通常、加給年金額と言っているのは、加給年金額の本来の額「224,700円×改定率」に特別加算を加えた額です。家計を支えていた夫(妻)が老齢厚生年金の受給権者となった場合に、妻(夫)が老齢基礎年金を受給している人としていない人の間の年金額の差を縮小するという目的があります。

配偶者特別加算は、加給年金額の受給権者本人が1934(昭和9年)4月2日以降生まれであるときに支給されますが、1934(昭和9年)4月2日~1943年(昭和18年)4月1日生まれの人は、定額部分の単価が高い世代であるため、その分生年月日に応じて支給額が逓減する設計となっています。

したがって、特別加算の額はの生年月日によって決まります。
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【振替加算について】
1966年(昭和41年)4月1日以前に生まれた人が、加給年金額の対象となる配偶者に該当する場合に、本人の老齢基礎年金に一定額が加算される制度です。

昭和60年改正法以前、被用者年金の被扶養配偶者は国民年金に任意加入とされていたため、改正法が施行された1986年(昭和61年)4月1日において20歳以上のこれらの人は加入期間が短く、老齢基礎年金が低額になってしまう可能性があります。これを補うための給付が振替加算額です。制度の趣旨を考えれば、任意加入であった期間が長いほど支給額も多くすべきなので、振替加算額は老齢基礎年金を受給する者の生年月日によって変わる設計となっています。

したがって、振替加算の額はの生年月日によって決まります。

結論として、加給年金額の特別加算額、振替加算額のいずれも受給権者の生年月日によって支給額が変わります。本問では加給年金額の受給権者は夫、振替加算額の受給権者は妻ですから[3]の記述が適切です。