FP1級過去問題 2015年10月学科試験 問6(改題)

問6

厚生年金保険の在職老齢年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 在職老齢年金の支給停止額を計算するときの総報酬月額相当額とは、その者の報酬月額とその月以前の1年間の賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額である。
  2. 在職老齢年金の支給停止額を計算するときの基本月額とは、老齢厚生年金の額(加給年金額、繰下げ加算額および経過的加算額が加算されている場合は当該額を除いた額)を12で除して得た額である。
  3. 65歳未満の老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険の適用事業所に勤務している場合、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が58万円以下のときは、在職支給停止の仕組みによる調整は行われない。
  4. 70歳以上の老齢厚生年金の受給権者は、厚生年金保険の適用事業所に勤務している場合、原則として在職支給停止の仕組みは適用されず、老齢厚生年金は全額支給される。

正解 2

解説

  1. 不適切。在職老齢年金における総報酬月額相当額とは、"対象月の標準報酬月額"に"その月以前1年間の標準賞与額÷12(月)"を加えた額です。実際に支給された額ではなく、厚生年金保険の標準報酬月額と標準賞与額を使います。
  2. [適切]。在職老齢年金における基本月額とは、老齢厚生年金の額(年額)のうち報酬比例部分の額(繰下げによる加算額を除く)を12(月)で除した額です。
  3. 不適切。58万円ではありません。老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が、在職老齢年金の支給停止調整開始額である48万円以下であれば、在職支給停止となることはありません。65歳未満(低在老)と65歳以上(高在老)は統一されたので、年齢による差はありません。
    65歳未満の厚生年金保険の被保険者が支給を受ける特別支給の老齢厚生年金は、その者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が48万円以下である場合、在職支給停止の仕組みによる調整はなく、全額が支給される。2021.1-3-1
    厚生年金保険の被保険者(62歳)に支給される特別支給の老齢厚生年金の年金額は、受給権者である被保険者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が48万円を超えた場合、その一部または全部が支給停止となる。2015.1-4-1
    厚生年金保険の被保険者(67歳)に支給される老齢厚生年金の年金額は、受給権者である被保険者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が48万円を超えた場合、その一部または全部が支給停止となる。2015.1-4-3
  4. 不適切。在職老齢年金は70歳以上の人にも適用されます。70歳になると、原則として厚生年金の被保険者ではなくなり保険料の納付が不要となりますが、70歳以降も引き続き在職支給停止の対象となります。
    Cさん(72歳)に支給される老齢厚生年金は、受け取っている報酬の額にかかわらず、在職支給停止の仕組みは適用されず、全額が支給される。2016.1-3-3
したがって適切な記述は[2]です。