FP1級過去問題 2015年9月学科試験 問15

問15

個人が契約する損害保険の課税関係に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 居住用建物を補償の対象とする地震保険の保険料は地震保険料控除の対象となり、所得税では5万円を限度として年間支払保険料の全額が控除額となり、住民税では2万5,000円を限度として年間支払保険料の2分の1の金額が控除額となる。
  2. 自動車保険の被保険者が交通事故により死亡し、被保険者の遺族が人身傷害補償保険の保険金を受け取った場合、当該保険金のうち事故の相手方の過失割合に応ずる金額は非課税となる。
  3. 火災保険の被保険者が所有する居住用建物の火災による損失に基づいて受け取った保険金は非課税となるが、当該損失について雑損控除の適用を受ける場合は、損失額から受け取った保険金の額を差し引く必要がある。
  4. 所得補償保険の被保険者が病気により入院し、就業不能となって受け取った保険金は非課税となるが、当該入院医療費等について医療費控除の適用を受ける場合は、支払った医療費の金額から受け取った保険金の額を差し引く必要がある。

正解 4

問題難易度
肢113.0%
肢224.2%
肢315.5%
肢447.3%

解説

  1. 適切。居住用建物を補償の対象とする地震保険の保険料は地震保険料控除の対象となり、その控除額は、所得税では支払金額の全額を5万円を限度に、住民税では支払金額の2分の1の金額である2万5,000円を限度としてそれぞれ控除されます。
    地震保険料控除は、所得税では10万円を限度として支払った地震保険料の全額が控除額となり、住民税では5万円を限度として支払った地震保険料の2分の1相当額が控除額となる。2020.9-14-2
  2. 適切。人身傷害補償保険は、事故の過失割合にかかわらず保険金額の範囲内で実際の損害額が保険金として支払われます。その保険金に対して、自己の過失割合の金額については課税対象となりますが、相手方の過失割合の金額は非課税となります。
    Aさんが自家用車の運転中に交通事故により死亡し、Aさんの遺族が、Aさんが加入する自動車保険の人身傷害補償保険から保険金を受け取った場合、当該保険金のうち事故の相手方の過失割合に相当する金額は非課税となる。2022.9-14-1
    自動車事故によりAさんが死亡し、Aさんの遺族に対して事故の相手方が加入する自動車保険の対人賠償保険から保険金が支払われた場合、Aさんの過失の有無にかかわらず、当該保険金については、所得税、相続税および贈与税の課税対象とならない。2017.9-15-1
    自動車事故により自家用車を運転していたCさんが死亡し、Cさんの遺族に対してCさんが加入する自動車保険の人身傷害(補償)保険から保険金が支払われた場合、Cさんの過失の有無にかかわらず、当該保険金については、所得税、相続税および贈与税の課税対象とならない。2017.9-15-3
  3. 適切。火災保険の損失に基づいて受け取る保険金は、受けた損害を補填する目的のため非課税となります。また、確定申告することでその損害について雑損控除を受けることができますが、その際、損失額から受け取った保険金の額を差し引く必要があります。
    Cさんが所有する居住用建物が火災により全焼し、Cさんが加入する火災保険から保険金を受け取った場合に、当該損失について雑損控除の適用を受けるときは、損失額から受け取った保険金の額を差し引く必要がある。2022.9-14-3
  4. [不適切]。就業不能状態になったときに所得を補償する所得補償保険で受け取る保険金は、身体の傷害に基因して受け取る保険金のため、非課税となります。所得補償保険から受け取る保険金は医療費を補填するものでなく所得を補償するもののため、入院医療費等について医療費控除の適用を受ける場合でも支払った医療費の金額から受け取った保険金の額を差し引く必要はありません。
    Dさんが病気により入院し、Dさんが加入する所得補償保険から保険金を受け取った場合に、当該入院に係る医療費について医療費控除の適用を受けるときは、支払った医療費の金額から受け取った保険金の額を差し引く必要がある。2022.9-14-4
したがって不適切な記述は[4]です。