FP1級過去問題 2015年9月学科試験 問21

問21

株式の信用取引に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 建株の返済期限がない一般信用取引であっても、合併や株式分割等の事象が発生した場合や株式の調達が困難となった場合等に返済期限が設定されることがある。
  2. 信用取引において、金銭に代えて上場株式を委託保証金として差し入れている場合に、当該上場株式の代用掛目が変更されたとしても、すでに差し入れている上場株式に影響が及ぶことはない。
  3. 建株を反対売買して確定利益が生じた場合、制度上、その確定利益分を反対売買した日に新たな信用取引に係る委託保証金として利用することができる。
  4. 委託保証金率が30%である場合に、30万円の委託保証金を金銭で差し入れているときは、約定金額100万円まで新規建てすることができる。

正解 2

問題難易度
肢15.9%
肢274.2%
肢312.7%
肢47.2%

解説

  1. 適切。一般信用取引における弁済期限は基本的には無期限ですが、上場廃止、合併、株式分割、株式移転や、与信管理上の事情、株式の調達が困難となった場合には返済期限が設定されることがあります。
  2. [不適切]。代用掛目とは、代用有価証券の額面や時価に乗じる係数のことです。有価証券の代用価格は、委託保証金の計算日における「時価×代用掛目」で算出されるので、代用掛目が変更されると代用価格が増減することになります(信用取引及びその保証金に関する内閣府令8条2項)。
  3. 適切。建株を反対売買して利益が生じた場合、委託保証金はすぐに解放されるため、同日中に他の信用取引の委託保証金として利用することができます(信用取引及びその保証金に関する内閣府令8条4項)。
    建株を反対売買などで返済した場合の委託保証金は、同日中に他の信用取引の委託保証金として利用することができる。2020.9-21-2
  4. 適切。委託保証金率とは、約定可能代金に委託保証金の対する割合のため、委託保証金が30万円で委託保証金率が30%の場合、約定代金の上限は「30万円÷30%=100万円」となります。なお、委託保証金率は約定代金の30%以上、委託保証金は30万円以上と決められています。
    委託保証金率が30%である場合に、30万円の委託保証金を金銭で差し入れているときは、約定金額100万円まで新規建てすることができる。2019.5-21-2
    委託保証金率が30%である場合に、50万円の委託保証金を金銭で差し入れているときは、約定金額150万円まで新規建てすることができる。2018.1-20-4
したがって不適切な記述は[2]です。