FP1級過去問題 2015年9月学科試験 問26

問26

居住者に係る所得税の所得控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 納税者の配偶者が受け取っている公的年金から特別徴収された介護保険料は、納税者と配偶者が生計を一にしている場合には、納税者の社会保険料控除の対象とすることができる。
  2. 2年分の国民年金保険料を前納した納税者は、納めた全額をその納付した年分の社会保険料控除の対象とするか、各年分の保険料に相当する額を各年分の社会保険料控除の対象とするかのいずれかを選択することができる。
  3. 扶養控除の対象となる扶養親族は、同一の家屋に起居している16歳以上の親族であるため、納税者に勤務先からの転任命令等のやむを得ない事由がある場合を除き、たとえ生活費等を送金していたとしても、別居している者を対象として扶養控除の適用を受けることはできない。
  4. 年の中途で死亡した納税者の準確定申告において配偶者控除の対象となった者は、その後その年中において他の納税者の控除対象配偶者や控除対象扶養親族となることはできない。

正解 2

問題難易度
肢113.1%
肢274.3%
肢32.5%
肢410.1%

解説

  1. 不適切。特別徴収された介護保険料はその特別徴収された者が支払ったことになります。よって、配偶者の特別徴収された介護保険料を、納税者の社会保険料控除として申告することはできません(普通徴収ならOKです)。
    納税者と生計を一にする配偶者が受け取っている公的年金から特別徴収された介護保険料は、確定申告をすることにより、納税者の社会保険料控除の対象とすることができる。2022.5-27-2
    納税者の配偶者が受け取っている公的年金から特別徴収された介護保険料は、納税者と配偶者が生計を一にしている場合、納税者の社会保険料控除の対象とすることができる。2019.9-28-2
  2. [適切]。国民年金保険料は1年分または2年分をまとめて前納することができます。2年分の国民年金保険料を前納した納税者は、社会保険料控除として次のいずれか一方を選択して申告します。
    1. 全額を納付した年に控除する方法
    2. 各年分の保険料に相当する額を各年に控除する方法
  3. 不適切。同一の家屋に起居しているという要件はなく、納税者と生計を一にしていれば足ります。勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
  4. 不適切。年の途中に死亡した納税者の準確定申告で配偶者控除や扶養控除等の適用を受けていても、その後その年中において相続人等他の居住者がその者について人的控除の適用を受けることは可能です。高齢の妻が配偶者の死亡の時に配偶者控除の適用を受け、その年において同居している子の扶養親族となるケースがこれに該当します。
    年の中途で死亡した納税者の準確定申告において配偶者控除の対象となった者は、所定の要件を満たせば、その後その年中において他の納税者の控除対象配偶者や控除対象扶養親族となることができる。2019.1-28-4
したがって適切な記述は[2]です。