FP1級過去問題 2015年9月学科試験 問28(改題)

問28

居住者が2023年4月に住宅ローンを利用して住宅を取得し、同月中に入居した場合における住宅借入金等特別控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、住宅の取得に際して10%の税率による消費税額等を負担しているものとする。また、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 取得した住宅が店舗併用住宅である場合、床面積の2分の1以上に相当する部分がもっぱら居住の用に供され、かつ、当該居住の用に供される部分の床面積が40㎡(合計所得金額1,000万円超の受贈者は50㎡)以上でなければ、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができない。
  2. 取得した住宅が認定長期優良住宅に該当する場合、住宅借入金等特別控除の控除期間は最長で13年間であり、2023年分の所得税額から控除することができる金額は最大で35万円である。
  3. 住宅の取得にあたって親から住宅取得資金の贈与を受けていた場合、住宅借入金等特別控除と「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例」は、重複して適用を受けることができない。
  4. 勤務先からの転任命令により転居し、取得した住宅を2023年12月31日において居住の用に供していなかった場合、再び居住の用に供した日の属する年が住宅借入金等特別控除の控除期間内であっても、住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできない。

正解 2

問題難易度
肢131.2%
肢251.7%
肢311.9%
肢45.2%

解説

  1. 不適切。店舗併用住宅である場合、その建物の登記簿上の床面積が40㎡(合計所得金額1,000万円超の受贈者は50㎡)以上240㎡以下であり、かつ、その床面積の2分の1以上が自己の居住用に供されていれば適用要件を満たします。居住の用に供される部分の床面積の大きさは、適用要件とはなっていません。
    住宅(床面積100㎡)を取得した場合において、控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下でなければ、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができない。2024.1-29-1
    住宅ローンを利用して認定長期優良住宅を取得した場合、合計所得金額が2,000万円を超える年分については、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができない。2015.10-28-2
  2. [適切]。2022年~2025年までに居住開始した場合には、住宅ローン控除の控除期間は、最長13年間となります。また控除額は年末借入金残高の0.7%、借入金限度額は下表のように細かく設定されています。
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    認定長期優良住宅は認定住宅に該当するので、2023年居住開始のときの控除限度額は「5,000万円×0.7%=35万円」となります。
    取得した住宅が認定長期優良住宅に該当する場合、住宅借入金等特別控除による各年の控除額は住宅借入金等の年末残高等に0.7%を乗じた金額であり、最大35万円となる。2022.9-30-2
    1年目から10年目までの住宅借入金等特別控除による各控除額は、住宅借入金等の年末残高等に1%を乗じた金額であり、30万円が限度となる。2020.9-29-2
    給与所得者が、銀行の住宅ローンを利用して認定長期優良住宅を取得し、住宅借入金等特別控除の適用を受けた場合、2023年分の所得税額から控除することができる金額は、2023年12月31日における住宅ローン残高の1.0%相当額で、40万円が限度となる。2017.9-30-2
    住宅ローンを利用して認定長期優良住宅を取得した場合、住宅借入金等特別控除の控除限度額は、2032年までの各年において、その住宅ローンの年末残高(最高5,000万円)の0.7%相当額である。2015.10-28-1
  3. 不適切。「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例」と住宅借入金等特別控除は併用可能です。
  4. 不適切。勤務先からの転任命令などのやむを得ない理由により転居しその後再入居した場合は、再入居した年が控除期間内であれば、その年以降の分について住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。
    住宅を取得して居住を開始した年に勤務先からの転任命令により転居し、その年の12月31日において当該住宅に居住していなかった場合、当該住宅に再び居住した日の属する年以後、残存控除期間について、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる。2024.1-29-3
    2021年4月に住宅ローンを利用して住宅を取得して入居した者が、同年中に勤務先からの転任命令により転居し、2024年4月に再入居した場合、所定の要件を満たせば、2023年分の所得税から最長で13年間、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる。2019.1-29-2
したがって適切な記述は[2]です。