FP1級過去問題 2015年9月学科試験 問29

問29

居住者に係る所得税の申告等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 確定申告をすべき者が年の中途で死亡した場合、その相続人は、その死亡した者に代わって、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に確定申告をしなければならない。
  2. 提出した確定申告書の記載内容に誤りがあり、納付すべき税額が不足していた場合に、記載内容を訂正した新たな確定申告書を法定申告期限内に提出したときは、新たに納めることになった税額のほかに過少申告加算税が課される。
  3. 確定申告書を提出し、納付した税額が過大であったことが法定申告期限経過後に判明した場合、法定申告期限から1年以内に限り、更正の請求書を提出して税金の還付を受けることができる。
  4. 国外財産を保有し、その価額の合計額がその年の12月31日において5,000万円を超える居住者(非永住者を除く)は、その年の翌年3月15日までに、当該国外財産の種類、数量、価額等を記載した国外財産調書を所轄税務署長に提出しなければならない。

正解 4

問題難易度
肢117.4%
肢219.6%
肢313.4%
肢449.6%

解説

  1. 不適切。10カ月ではありません。確定申告書の提出義務者が死亡した場合や、確定申告をすべきものが年の中途で死亡した場合に、その者の相続人が行う準確定申告の期限は、相続開始を知った日の翌日から4か月以内です(所得税法125条)。
    確定申告をすべき者が年の途中で死亡し、相続人が2人以上いる場合、死亡した者に係る確定申告書は相続人がそれぞれ提出しなければならない。2023.9-28-3
  2. 不適切。自主的な修正申告であれば、過少申告加算税は課されません。過少申告加算税が課されるのは、税務署の調査または調査の事前通知があったに提出された修正申告に係る税額についてです(国税通則法65条)。本肢は法定申告期限内の修正申告で、当然に税務調査前であると判断できるため過少申告加算税が課されることはありません。
  3. 不適切。1年ではありません。所得税の更正の請求書を提出できるのは、原則として法定申告期限から5年以内です(国税通則法23条)。
    確定申告書を提出し、納付した税額が過大であったことが法定申告期限経過後に判明した場合、原則として法定申告期限から5年以内に限り、更正の請求書を提出して税金の還付を受けることができる。2021.9-28-b
    過去に行った確定申告について、納付した税額が過大であったことが判明した場合、原則として法定申告期限から1年以内に限り、更正の請求をすることができる。2014.9-30-4
  4. [適切]。その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する居住者(非永住者を除く)は、その国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を、その年の翌年の3月15日までに、所轄税務署長に提出しなければなりません(国外財産調書制度)。
したがって適切な記述は[4]です。