FP1級過去問題 2016年1月学科試験 問12

ご注意ください。
法令改正により、この問題の記述は現行の内容と異なっている可能性があります。

問12

X株式会社(以下、「X社」という)は、以下の定期保険(無配当)に加入した。当該定期保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
保険の種類
無配当定期保険(特約付加なし)
契約年月日
2023年12月1日
契約者(=保険料負担者)
X社
被保険者
代表取締役Aさん(40歳)
死亡保険金受取人
X社
保険期間・保険料払込期間
100歳満了
死亡保険金額
1億円
年払保険料
220万円
65歳時の解約返戻金額
4,600万円
  1. 保険期間の当初6割相当期間(前払期間)においては、支払保険料の4分の1の金額を損金に算入し、残りの4分の3の金額を前払保険料として資産に計上する。
  2. 保険期間の当初6割相当期間(前払期間)の算出にあたって、1年未満の端数が生じた場合は、1年未満の端数を切り捨てた期間を前払期間とする。
  3. 契約から25年後に当該保険契約を解約する場合、それまで資産に計上していた前払保険料を取り崩し、受け取った解約返戻金の額との差額を雑損失として経理処理する。
  4. 契約から25年後に契約者(=保険料負担者)をAさん、死亡保険金受取人をAさんの配偶者に名義変更し、当該保険契約を退職金の一部として支給した場合、支給時における払込保険料総額の2分の1相当額がAさんの退職所得に係る収入金額となる。

正解 2

問題難易度
肢120.2%
肢231.0%
肢330.7%
肢418.1%

解説

  1. 不適切。本問の定期保険は、満了時年齢>70歳、かつ、40歳+60年×2>105なので長期平準定期保険に該当します。長期平準定期保険の支払保険料は、2分の1を資産計上し、残り2分の1を損金算入します。本肢の経理処理は、加入時年齢と満了時年齢が同じで逓増定期保険である場合の仕訳です。
    保険期間の当初6割相当期間においては、支払保険料の2分の1の金額を損金に算入し、残りの2分の1の金額を前払保険料として資産に計上するが、保険期間の後半4割相当期間においては、支払保険料の全額を損金の額に算入するとともに、それまでに資産に計上した前払保険料の累積額をその期間の経過に応じ取り崩して損金の額に算入する。2014.9-12-1
  2. [適切]。長期平準定期保険や逓増定期保険では、保険期間の当初6割相当期間(前払い期間)を算出する際、1年未満の端数がある場合には、端数を切り捨てた期間が前払期間となります。
  3. 不適切。長期平準定期保険では、前半6割期間、支払保険料の2分の1を定期保険料として損金算入し、2分の1を前払保険料として資産計上します。保険期間は60年なので、契約から25年目はいまだ前半6割の期間に属します。
    解約時には、資産計上された前払保険料相当額を取り崩し、解約返戻金との差額は雑収入または雑損失として計上します。25年後の解約時までの払込済保険料は、220万円×25年=5,500万円になり、前払保険料としての資産計上額は半額の2,750万円になります。資産計上額2,750万円<解約返戻金4,600万円なので、差額1,850万円は雑収入として益金算入しなければなりません。
  4. 不適切。法人が役員や従業員にかけた生命保険を、受取人を役員・従業員本人やその遺族に名義変更し、退職金の一部として現物支給すると、支給時の解約返戻金相当額が退職収入として課税されます。
したがって適切な記述は[2]です。
法人税通達の改正により、逓増定期保険、長期平準定期保険などで個別に適用されていた仕訳が廃止されました。2019年7月8日以降に契約した保険期間3年以上の法人生命保険は、解約返戻率を基準にして契約当初の資産計上割合が、0割=全額損金(解約返戻率50%以下)、4割(同50%超70以下)、6割(同70%超85以下)、9割(85%超)に区分されます。遡及適用はないので、基準日以前に契約したものは従前の経理処理を行います。