FP1級過去問題 2016年1月学科試験 問41

問41

貸宅地の整理等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、借地人はいずれも地主と親族等の特別の関係にないものとする。
  1. 貸宅地の所有権(底地)の一部と借地権の一部を等価交換して、当該宅地を分割して地主と借地人とが所有することとした場合、その交換割合について、当該宅地の路線価図に示されている借地権割合ではなく当事者間で合意した割合で計算したとしても、他の要件を満たせば、「固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例」の適用を受けることができる。
  2. 地主が貸宅地の所有権(底地)を借地人以外の第三者に売却する場合に、当該宅地の路線価図に示されている借地権割合が60%であるときは、一般に、その売却価格は当該宅地の更地時価の40%相当額となる。
  3. 貸宅地は、管理処分不適格財産として相続税の物納に充てることがいっさいできないため、地主が当該宅地を自己の相続が開始した場合の相続税の物納財産として見込む場合には、借地関係を生前に解消しておく必要がある。
  4. 借地借家法施行前に締結された借地契約については、その設定契約の更新時に地主から定期借地権設定契約への切替えを申し入れることで、借地人は、正当の事由がない限り、その申入れを拒絶することはできないため、一定期間経過後に借地関係を解消する有効な手段となる。

正解 1

問題難易度
肢143.5%
肢221.8%
肢319.2%
肢415.5%

解説

  1. [適切]。「固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例」とは、交換により譲渡した資産の交換直前の用途と同じ用途に供するなど、一定の要件を満たす固定資産の交換は課税されない特例です。当事者間で合意された資産の価額が通常の取引価額と異なる場合であっても、合理的に算定されたものであれば、本特例の適用を受けることができます。
  2. 不適切。地主が底地を借地人以外の第三者に売却する場合、通常は買取ってくれる人はいませんので、いわゆる「底地買い屋」に売却することになってしまいます。一般的に底地割合(1-借地権割合)より低い金額で売却せざるを得ないことが多く、更地時価の10%前後になることもあります。
  3. 不適切。貸家建付地および貸宅地は、物納における管理処分不適格財産および物納劣後財産のいずれにも該当しません。自用地と同じく所定の要件を満たせば物納財産とすることができます。
  4. 不適切。借地借家法施行前に締結された借地契約について、引き続き旧借地法が適用されます。更新後の借地権の存続期間は旧借地法が適用されるので、切替えの申入れがあったとしても、借主は申入れを拒絶し旧借地権での更新が可能です。
したがって適切な記述は[1]です。