FP1級過去問題 2016年9月学科試験 問25

問25

所得税における減価償却に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 2016年4月1日以後に建物附属設備および構築物を取得し、業務の用に供した場合、「減価償却資産の償却方法の届出書」の提出の有無にかかわらず、定率法を選択することはできない。
  2. 2023年中に取得価額10万円以上20万円未満の減価償却資産を取得し、業務の用に供した場合、一括償却資産として取得価額の3分の1相当額を2023年分の必要経費に算入しなければならない。
  3. 所定の要件を満たす青色申告者が、2023年中に取得価額20万円以上30万円未満の減価償却資産を取得し、業務の用に供した場合、少額減価償却資産の取得価額の合計額が500万円に達するまで、その取得価額の全額を2023年分の必要経費に算入することができる。
  4. 現に採用している償却方法を変更しようとする場合には、新たな償却方法を採用しようとする年の前年の12月31日までに、変更理由を記載した「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

正解 1

問題難易度
肢157.9%
肢212.7%
肢311.8%
肢417.6%

解説

  1. [適切]。2016年(平成28年)4月1日以降に取得した建物附属設備および構築物は、定額法によって減価償却しなければなりません。それ以前は定率法も認められていましたが、改正により一本化されています。
  2. 不適切。一括償却資産とは、10万円以上20万円未満で取得した減価償却資産について認められる償却方法で、耐用年数によらず3年で均等償却するものです(使用期間の月割りもなし)。例えば15万円で買った業務用パソコンを一括償却資産とした場合、1年目5万円、2年目5万円、3年目5万円と償却していく感じです。
    一括償却資産は、通常の耐用年数に応じた減価償却と選択適用であり、必ずしも一括償却資産として減価償却しなければならないわけではありません。本肢は、強制的に一括償却資産として処理するという記述なので誤りです。
  3. 不適切。常時使用する従業員数が500人以下の青色申告者は、取得価格30万円未満の少額減価償却資産について、購入・使用開始した年度に一括して経費計上する特例が使えます。この少額減価償却資産の特例を適用できるのは、1年間で取得価額の合計額が300万円に達するまでです。本肢は「500万円」としているので誤りです。
  4. 不適切。所得税において、既に選定している減価償却資産の償却方法を変更しようとする場合には、変更しようとする年の3月15日までに提出する必要があります。前年の12月31日までではなく、「所得税の青色申告承認申請書」の提出期限と同じです。なお、法人が償却方法を変更しようとする場合には、新たに償却方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までが提出期限となります。
したがって適切な記述は[1]です。