FP1級過去問題 2016年9月学科試験 問41(改題)

問41

Aさんは、その所有する土地(更地)を、長男に対し、時価(通常の取引価額)に比べて著しく低い価額で譲渡する予定である。この場合のAさんに対する譲渡所得および長男に対する贈与税の課税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、Aさんは、長男が資力を喪失したために譲渡するのではないものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。

〈譲渡予定の土地の概要〉
時価(通常の取引価額)
2,000万円
相続税評価額(路線価方式)
1,600万円
取得価額(1994年にAさんが相続により取得)
不明
譲渡価額(2023年中に譲渡予定)
800万円
  1. Aさんには、時価2,000万円で譲渡したものとして譲渡所得の金額が計算され、所得税等が課される。一方、長男には、時価2,000万円と譲渡価額800万円との差額1,200万円の贈与を受けたものとして贈与税が課される。
  2. Aさんには、譲渡価額800万円をもとに譲渡所得の金額が計算され、所得税等が課される。一方、長男には、時価2,000万円と譲渡価額800万円との差額1,200万円の贈与を受けたものとして贈与税が課される。
  3. Aさんには、時価2,000万円で譲渡したものとして譲渡所得の金額が計算され、所得税等が課される。一方、長男には、相続税評価額1,600万円と譲渡価額800万円との差額800万円の贈与を受けたものとして贈与税が課される。
  4. Aさんには、譲渡価額800万円をもとに譲渡所得の金額が計算され、所得税等が課される。一方、長男には、相続税評価額1,600万円と譲渡価額800万円との差額800万円の贈与を受けたものとして贈与税が課される。

正解 2

問題難易度
肢123.6%
肢250.7%
肢312.7%
肢413.0%

解説

〔Aさんの譲渡所得について〕
法人に対する譲渡だと、時価の2分の1以上で譲渡したときにはその譲渡対価で、時価の2分の1未満で譲渡したときには時価で譲渡したとして譲渡所得を計算しますが、個人間の譲渡では、2分の1未満であるかどうかにかかわらず実際の譲渡対価で譲渡所得を計算します
したがって、Aさんは譲渡価額800万円で譲渡したものとして譲渡所得の金額を計算することになります。

〔長男の贈与額について〕
個人から時価の2分の1未満の対価で財産を譲り受けた場合には、その時価と支払った対価との差額に相当する金額は、財産を譲渡した人から贈与により取得したものとみなされます。
土地の時価は2,000万円ですから、譲渡対価との差額である「2,000万円-800万円=1,200万円」の贈与を受けたものとして贈与税が課されます。

したがって適切な記述は[2]です。