FP1級過去問題 2017年9月学科試験 問3

問3

雇用保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 基本手当の受給者が再就職し、再就職手当の支給を受ける場合、再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上であるときの再就職手当の額は、「基本手当日額(上限あり)×所定給付日数の支給残日数×70%」の算式により算出される。
  2. 介護休業給付金の支給対象となる介護休業の対象家族の範囲は、介護休業を取得しようとする者の配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹および孫であり、祖父母、兄弟姉妹および孫については同居かつ扶養している者に限られる。
  3. 介護休業給付金の支給対象となる介護休業は、同一の対象家族について、介護休業を開始した日から通算93日を限度として、5回まで分割して取得することができる。
  4. 高年齢求職者給付金の支給を受けることができる者は、同一の事業主の適用事業に65歳以前から引き続いて雇用されていた被保険者であり、かつ、失業した者に限られる。

正解 1

問題難易度
肢161.7%
肢214.6%
肢310.4%
肢413.3%

解説

  1. [適切]。基本手当の支給残日数を所定給付日数の3分の1以上残して、定職に就いたものには再就職手当が支給されます。再就職手当の額は、支給残日数の割合によって以下のように変わります(雇用保険法56条の3第3項2号)。
    支給残日数が所定給付日数の3分の2以上
    基本手当日額×支給残日数×70
    支給残日数が所定給付日数の3分の1以上
    基本手当日額×支給残日数×60
    就業手当の支給を受けるためには、職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上または45日以上であることが要件の1つとされ、その額は、現に職業に就いている日について、基本手当日額の30%相当額となる。2021.1-2-1
  2. 不適切。介護休業給付金の支給対象となる介護休業は、被保険者の配偶者(内縁関係含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母を介護するためのものです。以前は、祖父母、兄弟姉妹、孫について「同居かつ扶養していること」が要件とされていましたが、2017年(平成29年)の法改正により「同居・扶養要件」が廃止されたので、別居していても扶養していなくてもOKになりました(雇用保険法61条の4、雇用保険法規則101条の17)。
  3. 不適切。介護休業給付金は、同じ対象家族について通算93日を限度に、3回までの介護休業に限り支給されます。本肢は「5回まで」としているので誤りです(雇用保険法61条の4第6項)。
    介護休業給付金は、同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、介護休業を開始した日から通算して93日を限度に3回までに限り支給される。2021.9-3-2
  4. 不適切。高年齢求職者給付金は、離職の日以前1年以内に通算6カ月以上の被保険者期間を有する65歳以上の人が失業した場合に支給されます(雇用保険法37条の3)。以前は満65歳以上の人が新たに就業する場合、雇用保険の新規加入は不可となっていましたが、2017年(平成29年)の法改正によって雇用保険の被保険者の年齢制限は撤廃されました。このため、6か月以上の雇用保険被保険者期間という条件を満たしていれば、65歳以降に就職した場合でも、失業後に高年齢求職者給付金を受給することができます。
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したがって適切な記述は[1]です。