FP1級過去問題 2017年9月学科試験 問9

問9

生命保険募集人の募集行為に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 金融庁の「銀行等による保険募集に係る弊害防止措置」によれば、生命保険募集人である金融機関の職員は、当該金融機関の事業性資金の融資先に対しては、保険の種類を問わず、生命保険の募集を行ってはならないとされている。
  2. 金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」によれば、契約見込客の情報を保険会社または保険募集人に提供する行為は、保険商品の推奨や説明を行わず、保険会社等から報酬を得ていなかったとしても、保険募集行為に該当するとされている。
  3. 保険募集人として登録されていない者が、保険契約の締結の代理または媒介を行った場合、保険業法により、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処され、またはこれらが併科される。
  4. 2016年10月1日以降、保険募集代理店である金融機関の職員が外貨建て保険や変額保険等の特定保険契約を金融機関の窓口で販売する場合、保険業法により、当該金融機関が保険会社から受け取る販売手数料を顧客に開示することが義務付けられている。

正解 3

問題難易度
肢16.6%
肢216.6%
肢357.9%
肢418.9%

解説

  1. 不適切。一定の保険商品については、事業性資金の融資先(従業員数50人以下の小規模事業者については、その従業員等を含む)に対し、手数料を得て保険募集を行ってはならないこととされていますが、一時払い終身保険、一時払い養老保険、積立傷害保険、積立火災保険等のほか事業関連保険(銀行等のグループ会社を保険契約者とするものに限る)の募集については、規制対象から除外されています。よって「保険の種類を問わず」という点が誤りです。
    銀行等が保険募集人として保険募集を行う場合、融資先募集規制により、当該銀行等の事業性資金の融資先に対し、生命保険の募集をいっさいすることはできない。2023.5-9-1
  2. 不適切。金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」では、保険募集に該当しない行為(募集関連行為)、例えば、保険商品の推奨・説明を行わず契約見込客の情報を保険会社又は保険募集人に提供するだけの行為や、比較サイト等の商品情報の提供を主たる目的としたサービスのうち保険会社又は保険募集人からの情報を転載するなどは直ちに募集規制が適用されるものではないとされています。
  3. [適切]。保険募集人でない者が保険募集(保険契約の締結の代理又は媒介)を行った場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処され、またはこれを併科されます(保険業法317条の2第4号)
  4. 不適切。保険業法297条により、保険仲立人(ブローカー)には、顧客から求められた場合に手数料や報酬を開示すべき義務が課せられていますが、保険会社からの受託者であり顧客の代理人ではない保険代理店については、保険業法上、手数料開示は義務付けられていません。
    ただし、2016年10月以降メガバンク等の大手銀行が、特定保険契約(変額年金保険、外貨建て保険等、金融商品取引法上の行為規制が準用される投資性の強い保険商品)にかかる代理店手数料の自主的開示を行うと公表しました。
したがって適切な記述は[3]です。