FP1級過去問題 2017年9月学科試験 問41

問41

Aさんは、2016年10月に銀行の住宅ローンを利用して取得した自己の居住用財産を、2023年5月に2,000万円で譲渡した。Aさんが2023年分の所得税の確定申告により「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の適用を受けた場合、下記の〈譲渡資産の内容等〉に基づき、2024年以降に繰り越すことができる譲渡損失の金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

〈譲渡資産の内容等〉
譲渡価額
2,000万円
取得費と譲渡費用の合計額
4,000万円
譲渡契約日の前日の譲渡資産に係る住宅ローン残高
3,000万円
Aさんの2023年分の給与所得の金額
780万円(その他の所得はない)
  1. 220万円
  2. 1,000万円
  3. 1,220万円
  4. 2,000万円

正解 1

問題難易度
肢146.2%
肢216.5%
肢328.3%
肢49.0%

解説

「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」は、住宅ローンが残っている自宅を住宅ローンの残高を下回る価額で売却したことより生じた譲渡損失を、他の所得と損益通算できる特例です。損益通算しきれなかった損失は翌年以後3年間繰越控除できます。

本特例では、譲渡契約日の前日の譲渡資産に係る住宅ローン残高から譲渡資産の売却価額を差し引いた残りの金額が、損益通算の限度額となります。

設例のもとでは譲渡損益は「4,000万円-2,000万円=2,000万円」、住宅ローン残高-売却価額は「3,000万円-2,000万円=1,000万円」ですので、損益通算の限度額は1,000万円です。これを当年の給与所得から控除すると「780万円-1,000万円=▲220万円」と全額を控除しきれないので、控除しきれなかった譲渡損失220万円を次年度に繰り越せることになります。

したがって正解は[1]です。

No.3390 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3390.htm