FP1級過去問題 2018年9月学科試験 問25(改題)

問25

居住者に係る所得税の給与所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 電車やバスなどの交通機関を利用せず、自家用車や自転車で通勤している給与所得者が支給を受けた通勤手当は、給与所得の金額の計算上、その全額を給与等の収入金額に算入する。
  2. 給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて計算されるが、収入金額が125万円以下である場合は40万円となり、収入金額が1,000万円を超える場合は210万円となる。
  3. 給与所得者が支出した特定支出の額の合計額が給与所得控除額を超えた場合、「給与所得者の特定支出の控除の特例」の適用を受けることにより、給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額からその超える部分の金額を控除した金額となる。
  4. 「給与所得者の特定支出の控除の特例」の適用を受けるためには、その年中の給与等の収入金額の多寡にかかわらず、勤務先の年末調整で受けることはできず、確定申告を行う必要がある。

正解 4

問題難易度
肢19.1%
肢25.0%
肢324.5%
肢461.4%

解説

  1. 不適切。自家用車や自転車で通勤している給与所得者が支給を受けた通勤手当も、片道の通勤距離に応じて一定額まで非課税になります。ちなみに非課税限度額は、通勤距離が片道55km以上の人に適用される31,600円です。
  2. 不適切。給与所得控除額には最低額があり、給与収入162万5,000円以下の人は一律55万円の控除額となります。上限については、所得金額調整控除を考慮しなければ、給与収入850万円超の控除額195万円が最高となります。
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    給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて計算されるが、給与等の収入金額が162万5,000円以下である場合は65万円となり、給与等の収入金額が1,000万円を超える場合は220万円となる。2021.5-26-2
  3. 不適切。給与所得者の特定支出の控除の特例とは、その年の特定支出の額の合計額が、その年中の給与所得控除額の2分の1を超えるときに、その超える部分について給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度です。特定支出とされるのは、通勤費、職務上の旅費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、勤務必要経費のうち一定のものです(勤務必要経費のみ65万円が上限)。
    給与所得者がその年中に支出した特定支出の額の合計額が給与所得控除額の2分の1相当額を超える場合、年末調整により、給与所得の金額の計算上、給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額からその超える部分の金額を控除することができる。2022.9-27-3
    給与所得者がその年中に支出した特定支出の額の合計額が給与所得控除額の2分の1相当額を超える場合、「給与所得者の特定支出の控除の特例」の適用を受けることにより、給与所得の金額の計算上、給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額からその超える部分の金額を控除することができる。2021.5-26-3
    2023年中に給与所得者が支出した特定支出の額の合計額が給与所得控除額を超えた場合、給与所得者の特定支出の控除の特例の適用を受けることにより、給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額からその超える部分の金額を控除した金額となる。2016.9-26-3
  4. [適切]。特定支出控除を受けるためには、特定支出に関する明細書および給与の支払者の証明書を申告書に添付するとともに、支出を証明する書類を用意して確定申告を行う必要があります。
したがって適切な記述は[4]です。