FP1級過去問題 2018年9月学科試験 問37

問37

土地区画整理法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 仮換地が指定された場合、従前の宅地の所有者は、当該仮換地について抵当権を設定することができるが、従前の宅地には抵当権を設定することはできない。
  2. 土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業の換地計画において定められた保留地は、換地処分の公告があった日の翌日に、施行者である当該組合が取得することになる。
  3. 土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権または借地権を有する者や、当該宅地の上の建物について所有権または借家権を有する者は、すべて当該組合の組合員となる。
  4. 土地区画整理組合の設立認可の公告があった日から換地処分の公告がある日までに、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更や建築物の新築等を行おうとする者は、当該組合の許可を受けなければならない。

正解 2

問題難易度
肢17.5%
肢253.2%
肢311.6%
肢427.7%

解説

  1. 不適切。仮換地とは、土地区画整理事業中に、対象地域の宅地所有者などが仮に使用できる土地のことです。仮換地の指定があった場合、従前の宅地については使用・収益はできませんが、所有権まで失うわけではないので、従前の宅地に抵当権を設定することはできます。一方、仮換地については使用・収益しかできないので、仮換地に抵当権を設定することはできません。
    仮換地が指定された場合、従前の宅地の所有者は、換地処分の公告がある日まで、従前の宅地について所有権移転の登記をすることができない。2020.9-36-2
    仮換地が指定された場合、従前の宅地について権原に基づき使用または収益をすることができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用または収益と同じ使用または収益をすることができる。2015.9-39-2
    仮換地が指定された場合、従前の宅地の所有者は、換地処分の公告がある日まで、従前の宅地について売買契約を締結することができない。2015.9-39-3
  2. [適切]。保留地は、土地区画整理事業の施行費用に充てるため、または規約等で定める目的のために、換地計画において誰の所有にも属さないこととされる土地のことです。保留地は、換地処分の公告があった日の翌日において施行者が取得します(土地区画整理法104条11項)。よって、本肢のケースだと施行者である土地区画整理組合が取得することになります。
    換地計画において定められた保留地は、換地処分の公告があった日の翌日に、換地計画において換地の所有者として定められた者が取得する。2020.9-36-4
  3. 不適切。組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員となりますが、当該宅地の上の建物の所有者や賃借人は含まれません(土地区画整理法25条1項)。
  4. 不適切。土地区画整理組合の設立認可の公告日から換地処分の公告日までに、施行地区内において土地区画整理事業の障害となる土地の形質の変更や建築物の新築等を行う場合には、都道府県知事等の許可が必要になります(土地区画整理法76条1項)。本肢は「組合の許可」としているので誤りです。
したがって適切な記述は[2]です。