FP1級過去問題 2018年9月学科試験 問50(改題)

問50

「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 本特例の適用を受けるためには、2026年3月31日までに後継者や経営計画等が記載された一定の計画書を都道府県知事に提出して確認を受けたうえで、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づく都道府県知事の認定を受ける必要がある。
  2. 本特例の適用を受けることができる後継者は、本特例の対象となる非上場株式の受贈時において会社の代表権を有し、発行済議決権株式総数の過半数を有する者に限られる。
  3. 後継者が贈与を受けた非上場株式のうち、本特例の対象となる非上場株式は、後継者が受贈前に既に有していた非上場株式を含めて、発行済議決権株式総数の3分の2が限度となる。
  4. 本特例の対象となる非上場株式は、会社の代表権を有していた者から贈与を受けた非上場株式に限られ、会社の代表権を有したことがない者から贈与を受けた非上場株式は対象とならない。

正解 1

問題難易度
肢154.8%
肢220.6%
肢314.6%
肢410.0%

解説

  1. [適切]。「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」は、会社の後継者が贈与を受けた一定の非上場株式等に対応する贈与税額を、一定の要件で非上場株式等の贈与者(先代経営者)が死亡する日等まで納税を猶予する制度です。2026年3月31日までに、会社の後継者や承継時までの経営見通し等を記載した計画書を都道府県知事に提出して確認を受け、経営承継円滑化法による都道府県知事の認定を受ける必要があります。
  2. 不適切。適用を受けられる後継者は、贈与時に18歳以上であること、会社の代表権を有し、後継者と同族関係者等で総議決権数の過半数を保有し、かつ、同族内で筆頭株主であることが必要です。
  3. 不適切。従来までは発行済議決権株式総数の3分の2が限度でしたが、2018年度税制改正により、非上場株式の贈与税の納税猶予・免除の特例は、適用対象の株式数の上限が撤廃され全株式が適用対象となりました。
  4. 不適切。本特例の対象となる非上場株式は、会社の代表権を有していた経営者に限定されず、親族以外や過去に会社の代表権を有したことがない者を含んだ、複数の株主からの贈与に対しても適用可能になります。
したがって適切な記述は[1]です。