FP1級 2018年9月 応用編 問55

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 Aさん(40歳)は、上場株式と外貨建て金融商品への投資を行うことを検討している。Aさんは、上場株式については同業種のX社とY社に興味を持ち、外貨建て金融商品については下記の米ドル建て債券に関心がある。
 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

〈X社とY社の財務データ〉(単位:百万円)
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〈米ドル建て債券の概要〉
  • 利率(年率):2.5%(米ドルベース、年2回利払)
  • 残存期間  :10年
  • 単価(額面100米ドル当たり)および適用為替レート(円/米ドル)
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  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問55

《設例》の〈X社とY社の財務データ〉に基づいて、①X社のサスティナブル成長率と②Y社の使用総資本事業利益率をそれぞれ求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。

正解 

① 5.78(%)
(30,000百万円405,000百万円-5,000百万円×100)×(1-6,900百万円30,000百万円)
=5.78%(小数点以下第3位四捨五入)
② 4.26(%)
66,000百万円+600百万円+1,500百万円1,600,000百万円×100=4.26%(小数点以下第3位四捨五入)

分野

科目:C.金融資産運用
細目:5.株式投資

解説

〔①について〕
サスティナブル成長率は、外部資金調達を行わずに内部留保の再投資のみで実現可能な成長率のことで、以下の式で算出されます。

 サスティナブル成長率(%)=内部留保率×自己資本利益率×100

【内部留保率】
内部留保率は、当期純利益に対する内部留保額の割合で「内部留保額÷当期純利益×100」で求めます。内部留保額とは、当期純利益のうち配当に充てられなかった額の割合ですから「当期純利益-配当金総額」で計算します。※模範解答のように「1-配当性向」で求めることもできます。

X社の当期純利益は30,000、内部留保額は「30,000-6,900=23,100」なので、内部留保率は、

 23,100÷30,000×100=77%

【自己資本利益率】
自己資本利益率は、自己資本に対してどの程度の利益を上げたかを示す指標で「当期純利益÷自己資本×100」で求めます。X社の当期純利益は30,000、自己資本の額は、純資産の額から「新株予約権」と「非支配株主持分」の2つを除いた「405,000-5,000=400,000」なので、自己資本利益率は、

 30,000÷400,000×100=7.5%

以上より、X社のサスティナブル成長率は、

 77%×7.5%×100=5.775%
(小数点以下第3位四捨五入)5.78%

よって、正解は5.78%です。

〔①について〕
使用総資本事業利益率は「事業利益÷総資本×100」で求めます。事業利益は、本業の収益である営業利益に金融収益を足した額です。金融収益とは、営業外利益のうち受取利息・受取配当金・その他投資利益等の合計です。

Y社の事業利益は「66,000+600+1,500=68,100」、総資本(=総資産)は1,600,000なので、使用総資本事業利益率は、

 68,100÷1,600,000×100=4.256…%
(小数点以下第3位四捨五入)4.26%

よって、正解は4.26(%)です。