FP1級過去問題 2019年1月学科試験 問2

問2

育児休業および雇用保険の育児休業給付金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 育児休業給付金の支給対象となる育児休業は、育児休業取得可能期間の範囲内において、1カ月単位で3回まで分割して取得することができる。
  2. 育児休業給付金は、育児休業期間中に事業主から賃金が支払われなかった場合、育児休業を開始した日から1カ月ごとに、休業開始時賃金日額に30日を乗じて得た額の50%相当額が支給される。
  3. 母親が育児休業を取得した後、同一の子について父親が育児休業を取得した場合、「同一の子について配偶者が育児休業をする場合の特例」(パパ・ママ育休プラス制度)により、父母ともに子が1歳2カ月に達する日まで育児休業を取得することができる。
  4. 育児休業を取得することができる期間について、保育所等における保育の利用を希望して申込みを行っているが、その実施が行われないなどの事情がある場合、子が1歳6カ月に達する日までの延長および子が2歳に達する日までの再延長が認められる。

正解 4

問題難易度
肢13.3%
肢23.5%
肢317.6%
肢475.6%

解説

  1. 不適切。育児休業は、出産1回につき2回まで日単位で分割して取得することができます。3回まで分割して取得することができるのは介護休業で、こちらは同一の対象家族について93日間を限度に3回まで分割して取得することが可能です。
  2. 不適切。育児休業給付金の支給額は、育児休業開始から180日目までが「休業開始時賃金日額×30日×67%」、それ以降は「休業開始時賃金日額×30日×50%」で算出された金額が支給になります(雇用保険法61条の7第4項)。
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    介護休業を開始した被保険者に支給される介護休業給付金の額は、介護休業期間中に事業主から賃金が支払われなかった場合、1支給単位期間について、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の67%相当額である。2021.9-3-1
    育児休業給付金の額は、育児休業期間中に事業主から賃金が支払われた場合、1支給単位期間について、事業主から実際に支払われた賃金の額を休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額から差し引いた額が限度となる。2019.9-3-3
    2016年8月1日以降に介護休業を開始した被保険者に支給される介護休業給付金の額は、介護休業期間中に事業主から賃金が支払われなかった場合、1支給単位期間について、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の67%相当額である。2017.1-3-1
  3. 不適切。育児休業の期間は原則として子が1歳に達するまでですが、パパ・ママ育休プラス制度を利用すると、同一の子について父母がともに育児休業をする場合、後に育児休業を開始した人のみ、子が1歳2カ月に達する日まで育児休業の対象となります。本肢の場合、母親の育児休業は子が1年に達した時点で終了しますが、父親は子が1歳2カ月に達する日まで育児休業を取得することができます。後から育児休業を取得する人は、子が1歳に達する日以前に開始する必要があり、その育児休業の期間は原則として1年を超えることはできません(雇用保険法61条の7第6項)。
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  4. [適切]。育児休業の期間は、原則として子が1歳に達するまでですが、保育所の利用の申し込みをしているが保育所による保育の実施が行われないなどの事情がある場合、子が1歳6カ月に達する日まで延長することができます。また、1歳6カ月の時点でも同様の状況の場合、子が2歳に達する日まで再度延長することができます(雇用保険法61条の7第1項)。
    育児休業給付金の受給者が、保育所等における保育の利用を希望して申込みを行っているが、養育する子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われないなどの事情があるため、子が1歳6カ月に達する日まで育児休業を申し出た場合、子が1歳6カ月に達する日の前日まで育児休業給付金を受給することができる。2023.9-3-3
したがって適切な記述は[4]です。