FP1級過去問題 2019年1月学科試験 問14
問14
個人事業主が加入する各種損害保険から受け取った保険金等の課税関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、いずれも契約者(=保険料負担者)は個人事業主であるものとする。
- 個人事業主が、交通事故により負傷して就業不能となり、所得補償保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。
- 個人事業主が、従業員を被保険者とする積立普通傷害保険(保険期間5年)の満期返戻金を受け取った場合、当該満期返戻金は個人事業主の事業収入となる。
- 個人事業主が、所有する店舗内で保管していた商品が火災により焼失し、商品を保険の対象とする火災保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。
- 個人事業主が、所有している営業用自動車が全損となる事故により廃車となり、自動車保険から廃棄損を上回る車両保険金を受け取った場合、当該保険金のうち廃棄損を上回る部分については個人事業主の事業収入となる。
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正解 3
問題難易度
肢17.8%
肢215.3%
肢363.1%
肢413.8%
肢215.3%
肢363.1%
肢413.8%
分野
科目:B.リスク管理細目:4.損害保険
解説
- 不適切。所得補償保険から被保険者が受ける保険金は、個人が病気やケガなどの「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当するため非課税所得となります(所基通9-22)。個人事業主が、病気で就業不能となったことにより、所得補償保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は所得税の課税対象となる。(2025.1-15-3)Aさんの自家用車が自動車事故により全損し、Aさんが事故の相手方が加入する自動車保険の対物賠償保険から保険金を受け取った場合、Aさんの過失の有無にかかわらず、当該保険金については、所得税の課税対象とならない。(2024.5-15-1)
- 不適切。個人事業主が、積立普通傷害保険の満期返戻金を受け取った場合、払済保険料との差益が一時所得として課税対象となります。個人事業主が、従業員を被保険者とする傷害保険の死亡保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入に該当する。(2022.5-14-1)事業用建物が火災により焼失したことにより業務不能となり、店舗休業保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。(2020.1-15-4)
- [適切]。販売商品や棚卸資産等の損害により個人が受ける損害保険金は、本来は得られるはずだった収益の補填であり、実質的に売上の同様の性格をもつため、事業収入に計上する必要があります(所得税法令94条1項)。個人事業主が、所有する店舗内の倉庫に保管していた商品が火災で焼失したことにより、商品を対象とする火災保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税となる。(2025.1-15-4)個人事業主が、所有する店舗で保管していた商品が火災で焼失したことにより、商品を保険の対象とする火災保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税所得に該当する。(2022.5-14-4)事業用建物内で保管していた商品が火災により焼失し、商品を保険の対象とする火災保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。(2020.1-15-2)
- 不適切。営業車の損害により個人が受ける損害保険金は、「資産の損害に基因して支払を受けるもの」に該当するため非課税所得となります。受け取った保険金が損失を上回る場合でも、差額を事業収入にする必要はありません(所得税法令30条)。個人事業主が、所有する営業用自動車が全損となる事故により廃車となり、自動車保険から廃棄損を上回る車両保険金を受け取った場合、当該保険金のうち廃棄損を上回る部分については個人事業主の事業収入に該当する。(2022.5-14-2)事業用建物内に設置していた営業用什器備品が火災により焼失し、営業用什器備品を保険の対象とする火災保険から廃棄損を上回る保険金を受け取った場合、当該保険金のうち廃棄損を上回る部分は個人事業主の事業収入となる。(2020.1-15-3)
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