FP1級過去問題 2019年1月学科試験 問29(改題)

問29

住宅借入金等特別控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 2017年4月に住宅ローンを利用して住宅を取得し、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた者が、2024年4月に当該住宅ローンの一部繰上げ返済をし、当該住宅ローンの最終の償還月が2025年4月となった場合、2024年分の所得税について住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできない。
  2. 2022年4月に住宅ローンを利用して住宅を取得して入居した者が、同年中に勤務先からの転任命令により転居し、2025年4月に再入居した場合、所定の要件を満たせば、2024年分の所得税から最長で13年間、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる。
  3. 2023年4月に住宅を取得して住宅借入金等特別控除の適用を受けていた者が、2024年中に当該住宅を譲渡し、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の適用を受ける場合、2023年分の所得税についての修正申告書を提出し、控除された住宅借入金等特別控除相当額の所得税を納付しなければならない。
  4. 2024年4月に住宅を取得して住宅借入金等特別控除の適用を受けた者が、その控除額のうち2024年分の所得税額から控除しきれない額を2025年度分の個人住民税の所得割額から控除するためには、個人住民税の確定申告書を住所地の市町村長に提出する必要がある。

正解 1

問題難易度
肢165.3%
肢212.7%
肢311.9%
肢410.1%

解説

  1. [適切]。住宅借入金等特別控除は、償還期間10年以上の住宅ローンであることが適用条件になっています。繰上げ返済を行った結果、借入当初からの償還期間が10年未満となった場合は、その年以降は住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできません。本肢では繰上げ返済により当初からの返済期間が7年間になっているので、2024年分以降は適用を受けられません。
  2. 不適切。再入居から13年ではありません。住宅ローンを利用していた者が、転任命令などのやむを得ない事情により転居しその後再入居した場合、住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできますが、控除期間は、再入居した時期からではなく住宅を取得して入居したときからの13年間となります。なお、再入居した年にその住宅を賃貸していた場合は、その年分は適用を受けられず翌年からとなります。
    住宅を取得して居住を開始した年に勤務先からの転任命令により転居し、その年の12月31日において当該住宅に居住していなかった場合、当該住宅に再び居住した日の属する年以後、残存控除期間について、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる。2024.1-29-3
    勤務先からの転任命令により転居し、取得した住宅を2024年12月31日において居住の用に供していなかった場合、再び居住の用に供した日の属する年が住宅借入金等特別控除の控除期間内であっても、住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできない。2015.9-28-4
  3. 不適切。住宅借入金等特別控除は、新居に居住した年とその前2年間、後3年間の期間(計6年間)に、3,000万円の特別控除、軽減税率の特例、買換え特例の適用を受けている場合には、適用を受けることはできません。ただし、翌年以後3年以内であっても新居を譲渡して特例の適用を受けた場合は除かれます。したがって、本問のように住宅ローン控除の対象となっている住宅を譲渡した場合には、居住開始後3年以内であっても、3,000万円特別控除の適用を受けられます。
  4. 不適切。住宅借入金等特別控除の適用を受けた者が、その控除額を所得税額から控除しきれない場合、翌年の個人住民税から控除することができます。住民税からの控除は自動的に行われるので、個人住民税の控除の適用にあたって市町村長に確定申告書を提出する必要はありません。
したがって適切な記述は[1]です。