FP1級過去問題 2019年1月学科試験 問31

問31

法人税法上の益金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、法人はいずれも内国法人(普通法人)であるものとする。
  1. 法人が行った資産の販売または譲渡に係る収益の額は、原則として、その資産の引渡しの時における価額により、引き渡した日の属する事業年度の益金の額に算入する。
  2. 法人が欠損金の繰戻しにより受けた法人税額の還付金および還付加算金の額は、その全額が益金不算入となる。
  3. A社とA社が発行済株式の全部を保有するB社において、A社がB社から受けた当該株式(完全子法人株式等)に係る配当の額は、所定の手続により、その全額が益金不算入となる。
  4. C社とC社が発行済株式の全部を保有するD社において、D社がC社から受けた所定の寄附金の額に対応する受贈益の額は、益金不算入となる。

正解 2

問題難易度
肢114.0%
肢259.0%
肢313.0%
肢414.0%

解説

  1. 適切。法人が資産の販売や譲渡によって得た収益の額は、原則として、その資産を引き渡した時の価額で、引き渡した日の属する事業年度の益金の額に算入します(法人税法22条の2第1項)。
  2. [不適切]。法人税額は法人税の所得金額の計算上の損金に含まれないので、還付を受けた場合でも益金に算入しません(法人税法26条1項)。欠損金の繰戻し還付を受けた場合でも同様です。ただし、還付加算金は還付されるまでの受取利息に相当するものですので益金に算入します(法人税法26条1項)。
    法人が法人税の還付を受けた場合、その還付された金額は、原則として、還付加算金を除き、益金の額に算入しない。2020.9-30-3
  3. 適切。配当等の額の計算期間を通じて、完全支配関係にあった法人の株式等のことを指す「完全子法人株式等」に係る配当等の額は、申告書への記載によってその全額が益金不算入となります(法人税法23条の2第1項)。
    製造業を営むX社が発行済株式の100%を保有するA社から受けた完全子法人株式等に係る配当については、その全額が益金不算入となる。2022.5-31-1
    製造業を営むX社が発行済株式の40%を保有するB社から受けた関連法人株式等に係る配当については、その配当の額から当該株式に係る負債利子額を控除した金額が益金不算入となる。2022.5-31-2
    製造業を営むX社が発行済株式の10%を保有するC社から受けた完全子法人株式等、関連法人株式等および非支配目的株式等のいずれにも該当しない株式等に係る配当については、その配当の額の25%に相当する金額が益金不算入となる。2022.5-31-3
    製造業を営むX社が発行済株式の3%を保有するD社から受けた非支配目的株式等に係る配当については、その配当の額の20%に相当する金額が益金不算入となる。2022.5-31-4
    法人が完全支配関係のある法人から受けた株式(完全子法人株式等)に係る配当の額は、所定の手続により、その全額が益金不算入となる。2020.9-30-4
  4. 適切。完全支配関係のある法人間での寄附金は、受け取った法人の受贈益の額は全額が益金不算入となります(法人税法25条の2)。また、支出した法人側の寄附金の額は、その全額が損金不算入となります(法人税法37条1項)。
したがって不適切な記述は[2]です。