FP1級過去問題 2019年1月学科試験 問38

問38

Aさんは、2023年中に、婚姻期間25年の妻に対し、その所有する自宅の建物および敷地(いずれも10年前に取得)のそれぞれの持分2分の1を贈与して共有名義とした。この場合における不動産取得税および登録免許税の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 夫婦間の贈与による不動産の持分の取得は、その所有権の移転が形式的なものであることから、不動産取得税は課されない。
  2. 贈与による自宅の建物および敷地に関する所有権の移転登記に係る登録免許税の課税標準は、贈与の日における当該建物および敷地の相続税評価額となる。
  3. 贈与による自宅の建物に関する所有権の移転登記に係る登録免許税については、所定の要件を満たせば、「住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減」による軽減措置が適用される。
  4. 贈与による自宅の敷地に関する所有権の移転登記に係る登録免許税については、登記原因が売買の場合よりも高い税率が適用される。

正解 4

問題難易度
肢19.7%
肢28.6%
肢330.3%
肢451.4%

解説

  1. 不適切。夫婦間の不動産の贈与では、贈与税の配偶者控除を利用すれば一定額までは贈与税は掛かりませんが、不動産取得税は贈与による取得として課税されます。なお、相続に関しては取得と見なされないため、不動産取得税は課されません。
  2. 不適切。不動産の登録免許税の課税標準は、固定資産税評価額(固定資産課税台帳登録価格)となります。
    贈与による自宅の敷地に関する所有権の移転登記に係る登録免許税については、登記原因が売買の場合よりも高い税率が適用される。2019.1-38-4
  3. 不適切。「住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減」による軽減措置とは、以下の条件を満たす中古住宅を売買・競落で取得した際の移転登記の登録免許税が軽減される特例です(本則2.0%→0.3%)。
    1. 自己居住用の住宅であること
    2. 床面積50㎡以上であること
    3. 新築又は取得後1年以内に登記されたもの
    4. 中古住宅の場合、1982年(昭和57年)1月1日以後に建築されたものであること又は一定の耐震基準に適合していること
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    本措置は、売買・競落で取得したときのみ適用され、贈与・遺贈等の場合、適用対象外です。
    贈与により取得した住宅用家屋の所有権の移転登記に係る登録免許税については、所定の要件を満たせば、「住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減」による税率の軽減措置が適用される。2021.1-39-2
  4. [適切]。土地の所有権の移転登記に関して、売買による場合や贈与・交換等の場合の登録免許税率は本則2.0%ですが、2023年(令和5年)3月31日までは「軽減税率」の適用により売買に関しての登録免許税率は1.5%になるため、売買よりも贈与の方が高い税率が適用になります。
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    贈与による自宅の建物および敷地に関する所有権の移転登記に係る登録免許税の課税標準は、贈与の日における当該建物および敷地の相続税評価額となる。2019.1-38-2
したがって適切な記述は[4]です。