FP1級 2019年1月 応用編 問60(改題)
Aさん(65歳)は、12年前に父親の相続により取得した貸駐車場用地(400㎡)を売却して、その売却資金を元手として甲土地を取得し、甲土地の上に店舗併用型賃貸住宅を建築することを検討している。土地の買換えにあたっては、「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」の適用を受ける予定である。
Aさんが購入を検討している甲土地の概要は、以下のとおりである。
〈甲土地の概要〉
Aさんが購入を検討している甲土地の概要は、以下のとおりである。
〈甲土地の概要〉
- 甲土地は600㎡の長方形の土地である。
- 甲土地は、建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。
- 幅員18mの公道は、建築基準法第52条第9項の特定道路であり、特定道路から甲土地までの延長距離は63mである。
- 指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
- 特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問60
建築基準法の規定および「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」に関する以下の文章の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。- 〈建築基準法の規定〉
建築基準法では、都市計画区域と準都市計画区域内において、用途地域等に応じて、建築物の高さの制限が定められている。
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域または(①)地域内における建築物の高さは、原則として、10mまたは(②)mのうち都市計画で定められた限度を超えてはならないとされている。
また、甲土地が所在する近隣商業地域に建築する建築物に適用される高さの制限には、道路斜線制限と(③)斜線制限がある。このうち、道路斜線制限は、用途地域および容積率の限度の区分に応じて定められた一定の範囲内において、前面道路の反対側の境界線からの水平距離に対する高さの比率を定めたもので、その比率は、住居系の用途地域では原則として1.25、その他の用途地域では(④)と定められている。
なお、天空率により計算した採光、通風等が各斜線制限により高さが制限された場合と同程度以上である建築物については、各斜線制限は適用されない。 - 〈特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例〉
「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」(以下、「本特例」という)は、個人が事業の用に供している特定の地域内にある土地建物等(譲渡資産)を譲渡して、一定期間内に特定の地域内にある土地建物等の特定の資産(買換資産)を取得し、その取得の日から(⑤)年以内に買換資産を事業の用に供したときは、所定の要件のもと、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができる特例である。
譲渡資産および買換資産がいずれも土地である場合、原則として、買い換えた土地のうち、譲渡した土地の面積の(⑥)倍を超える部分は買換資産に該当せず、本特例の対象とならない。また、長期保有資産の買換え(いわゆる3号買換え)の場合、譲渡した土地の所有期間が譲渡した日の属する年の1月1日において(⑦)年を超えていなければならず、買い換えた土地の面積が(⑧)㎡以上でなければならない。
①地域 |
②m |
③斜線制限 |
④ |
⑤年 |
⑥倍 |
⑦年 |
⑧㎡ |
正解
① 田園住居(地域) |
② 12(m) |
③ 隣地(斜線制限) |
④ 1.5 |
⑤ 1(年) |
⑥ 5(倍) |
⑦ 10(年) |
⑧ 300(㎡) |
分野
科目:E.不動産細目:3.不動産に関する法令上の規制
解説
〔①、②について〕
用途地域のうち、第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域の3地域内の建築物の高さは、10mまたは12mのうち都市計画で定められた高さを超えてはなりません。これを「絶対高さ制限」といいます。
よって、①は田園住居(地域)、②は12(m)が正解となります。
〔③について〕
都市計画区域および準都市計画区域内の建築物に適用される斜線制限には次の3つがあります。建築物の敷地が2以上の用途地域にわたっている場合には、用途地域ごとに斜線制限が適用されます。
よって、正解は隣地(斜線制限)となります。〔④について〕
道路斜線制限は、建築物の高さを前面道路の反対側の境界線からの水平距離の1.25倍または1.5倍以下に制限するものです。水平距離に乗ずる比率は、原則として、住居系用途地域では1.25、商業系・工業系の用途地域では1.5を用います。
よって、正解は1.5となります。〔⑤、⑦について〕
「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(3号買換え)」は、国内にある所有期間10年を超える土地等、建物または構築物のうち事業に供しているものを譲渡し、一定の期間内に国内にある事業用の土地等、建物または構築物を取得(建設・製作を含む)し、かつ、取得後1年以内に事業用に供したときに、譲渡資産に係る譲渡益のうち一定割合に対する課税を繰り延べることができる制度です。
よって、⑤は1(年)、⑦は10(年)が正解となります。
〔⑥、⑧について〕
3号買換えで土地を買い換える場合には、買い換える土地の面積が300㎡以上でなければなりません。また、買い換えた土地のうち、譲渡資産である土地等に係る面積の5倍を超える部分は買換資産に該当しないものとされます。
よって、⑥は5(倍)、⑧は300(㎡)が正解となります。
用途地域のうち、第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域の3地域内の建築物の高さは、10mまたは12mのうち都市計画で定められた高さを超えてはなりません。これを「絶対高さ制限」といいます。
よって、①は田園住居(地域)、②は12(m)が正解となります。
〔③について〕
都市計画区域および準都市計画区域内の建築物に適用される斜線制限には次の3つがあります。建築物の敷地が2以上の用途地域にわたっている場合には、用途地域ごとに斜線制限が適用されます。
- 道路斜線制限
- 道路の日照や通風に支障を来さないように、道路の反対側の境界線からの斜線で高さを制限する。すべての用途地域に適用される
- 隣地斜線制限
- 高さ20mまたは31mの位置からの斜線で高さを制限する。より厳しい絶対高さ制限がある第一種・第二種低層、田園住居以外の地域に適用される
- 北側斜線制限
- 住居専用地域において、敷地北側境界線上の5mまたは10mの位置からの斜線で高さを制限する。第一種・第二種低層、田園住居、第一種・第二種中高層の5つの地域に適用される
※中高層住居地域では日影規制の対象区域を除く
よって、正解は隣地(斜線制限)となります。〔④について〕
道路斜線制限は、建築物の高さを前面道路の反対側の境界線からの水平距離の1.25倍または1.5倍以下に制限するものです。水平距離に乗ずる比率は、原則として、住居系用途地域では1.25、商業系・工業系の用途地域では1.5を用います。
よって、正解は1.5となります。〔⑤、⑦について〕
「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(3号買換え)」は、国内にある所有期間10年を超える土地等、建物または構築物のうち事業に供しているものを譲渡し、一定の期間内に国内にある事業用の土地等、建物または構築物を取得(建設・製作を含む)し、かつ、取得後1年以内に事業用に供したときに、譲渡資産に係る譲渡益のうち一定割合に対する課税を繰り延べることができる制度です。
よって、⑤は1(年)、⑦は10(年)が正解となります。
〔⑥、⑧について〕
3号買換えで土地を買い換える場合には、買い換える土地の面積が300㎡以上でなければなりません。また、買い換えた土地のうち、譲渡資産である土地等に係る面積の5倍を超える部分は買換資産に該当しないものとされます。
よって、⑥は5(倍)、⑧は300(㎡)が正解となります。
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