FP1級過去問題 2019年9月学科試験 問14

問14

民法および「失火の責任に関する法律」(以下、「失火責任法」という)に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。
  1. Aさんが失火で隣家を全焼させ、Aさんに重大な過失が認められる場合、民法の規定が適用されるため、Aさんは隣家の所有者に対して損害賠償責任を負う。
  2. Bさんがガス爆発事故により隣家を損壊させ、Bさんに故意または重大な過失が認められない場合、失火責任法の規定が適用されるため、Bさんは隣家の所有者に対して損害賠償責任を負うことはない。
  3. 賃貸住宅に住んでいる借家人Cさんが失火で借家を全焼させ、Cさんに重大な過失が認められる場合、民法の規定が適用されるため、Cさんは家主に対して損害賠償責任を負う。
  4. 賃貸住宅に住んでいる借家人Dさんが失火で借家を全焼させ、Dさんに重大な過失が認められない場合、失火責任法の規定が適用されるため、Dさんは家主に対して損害賠償責任を負うことはない。
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 4つ

正解 2

問題難易度
肢111.8%
肢268.9%
肢315.9%
肢43.4%

解説

失火責任法は、失火者の賠償責任について民法の例外を定めた法律です。

民法では、故意・過失により他人の権利や利益に損害を与えた場合、不法行為による損害賠償責任を負うことが定められています(民法709条)。しかし、失火責任法では、
民法第709条の規定は、失火の場合には、適用しない。ただし、失火者に重大な過失があったときは、この限りでない。とし、失火(過失による火事)の場合、その過失が重くないものであれば、失火者は隣家等に与えた損害について賠償責任は負わなくてもよいことになっています。ただし、借家の場合は、賃貸借契約上の原状回復義務があるので、家主に対して債務不履行による損害賠償責任を負います
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  1. ○適切。重大な過失による失火の場合には失火責任法は適用されません。この場合、民法の不法責任の規定に従い、隣家に対する損害賠償責任を負うこととなります。
  2. ×不適切。ガス爆発は失火ではないので失火責任法は適用されません。よって、民法の規定に従い隣家に対する賠償責任を負います。
  3. ○適切。家主(貸主)に対しては、過失の有無にかかわらず損害賠償責任を負います。
  4. ×不適切。家主(貸主)に対しては、過失の有無にかかわらず損害賠償責任を負います。
したがって適切なものは「2つ」です。