FP1級過去問題 2019年9月学科試験 問15

問15

所得税の地震保険料控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 常時居住の用に供していない別荘の所有者が支払った当該別荘を対象とする地震保険の保険料や、第三者に賃貸しているアパートの所有者が支払った当該アパートを対象とする地震保険の保険料は、いずれも地震保険料控除の対象とならない。
  2. 保険期間が2023年7月1日から2年間である地震保険の保険料を一括で支払った場合、支払った地震保険料の4分の1相当額が2023年分の所得税における地震保険料控除の対象となる。
  3. 地震保険の対象であった居住用建物が地震によって全損となり、保険金が支払われて地震保険契約が終了した場合、その年分に支払った地震保険料は地震保険料控除の対象とならない。
  4. 地震保険料控除は、地震保険料または一定の長期損害保険契約等に係る損害保険料に基づく控除額でそれぞれ5万円が上限となり、かつ、それらを合計した金額で5万円が上限となる。

正解 1

問題難易度
肢160.8%
肢29.6%
肢34.4%
肢425.2%

解説

  1. [適切]。地震保険料控除の対象となるのは、控除を受ける本人または同一生計の配偶者・親族が所有している、①常時その居住に供されている家屋と②生活用動産を保険の目的とする地震保険契約です。他人への貸与部分や共用部分、別荘、店舗部分等を目的とするものについては控除の対象となりません。
    第三者に賃貸している居住用家屋を対象とする地震保険について、居住用家屋の所有者が支払った保険料は、地震保険料控除の対象とならない。2024.1-13-2
    賃貸マンションの所有者が、当該建物を対象とする火災保険に地震保険を付帯して契約した場合、その建物について支払った地震保険料の全額が地震保険料控除の対象となる。2018.1-15-1
  2. 不適切。複数年分の地震保険料を一括で支払った場合は、「一括払保険料÷保険期間(年)」の算式で1年分に換算した額が各年の地震保険料控除の対象となります。本肢では保険期間2年ですから、支払った地震保険料の2分の1が2023年分の地震保険料控除の対象となります。本肢では7月に支払っているので2023年分は半年が保険期間となりますが、月数での按分計算は不要です。
    保険期間が2024年1月1日から2年間である地震保険の保険料を一括で支払った場合、支払った保険料の全額を2024年分の地震保険料控除の対象とすることはできない。2024.1-13-3
    2023年4月に居住用建物を対象として保険期間5年の地震保険を契約し、その地震保険料を同年中に一括して支払った場合、支払った地震保険料の全額が2023年分の所得税および2024年度分の住民税における地震保険料控除の対象となる。2020.9-14-3
    地震保険の保険期間が1年を超える長期契約で、地震保険料を一括で支払った場合、その全額が支払った年分の地震保険料控除の対象となる。2018.1-15-4
  3. 不適切。地震での「全損」扱いなどにより、支払われた保険金があらかじめ定められた保険金額(保険金額の80%など)に達すると地震保険契約は終了しますが、その終了年に支払った保険料も地震保険料控除の対象となります。
    地震保険の対象である自己の居住用家屋が地震によって全損し、保険金が支払われて当該地震保険契約が終了した場合であっても、その年に支払った保険料は地震保険料控除の対象となる。2024.1-13-4
    地震保険の対象であった居住用建物が地震によって全損となり、保険金が支払われて地震保険契約が失効した場合であっても、その年分に支払った地震保険料は地震保険料控除の対象となる。2018.1-15-2
  4. 不適切。地震保険料控除の控除額は、地震保険料については5万円が上限であり、旧長期損害保険料は1万5,000円が上限です。また、両方の支払いがある場合には、それらの合計で5万円が地震保険料控除の上限になります。
したがって適切な記述は[1]です。