FP1級過去問題 2020年1月学科試験 問47

問47

次の各ケースのうち、相続人が相続税の申告をしなければならないものはいくつあるか。なお、各ケースにおいて、被相続人は2025年中に死亡し、相続人は相続により財産を取得したものとする。また、相続の放棄をした者はおらず、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 相続人が被相続人の配偶者のみであり、相続開始時に被相続人が所有していた財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、相続人が契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約による死亡保険金1,000万円を受け取った場合
  2. 相続人が被相続人の配偶者と子の合計2人であり、相続開始時に被相続人が所有していた財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、5年前に相続人が被相続人から現金1,000万円の贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けていた場合
  3. 相続人が被相続人の配偶者と子2人の合計3人であり、相続開始時に被相続人が所有していた財産は5,000万円(相続税評価額)であるが、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けることにより、相続税の課税価格の合計額が4,200万円になる場合
  4. 相続人が被相続人の配偶者のみであり、相続開始時に被相続人が所有していた財産は6,000万円(相続税評価額)であるが、配偶者がすべての財産を相続により取得し、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることにより、納付すべき相続税額が算出されない場合
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 4つ

正解 2

問題難易度
肢114.2%
肢265.5%
肢316.7%
肢43.6%

解説

  1. 申告は不要。相続人が契約者なので、死亡保険金は一時所得として所得税の課税対象となり、相続税の課税価格には算入されません。相続税の課税価格の合計額は3,000万円であり、遺産に係る基礎控除額「3,000万円+600万円×1人=3,600万円」未満となるため申告は不要です。
  2. 申告は不要。相続時精算課税で非課税となった財産は、贈与時の価額から基礎控除額を控除した残額を相続税の課税価格に加算します。相続税の課税価格の合計額は「3,000万円+1,000万円=4,000万円」であり、遺産に係る基礎控除額「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」未満となるため申告は不要です。
    ※相続時精算課税の基礎控除が適用されるのは2024年分以降の贈与に限ります。
  3. 申告が必要。「小規模宅地の評価減の特例」の適用を受けることにより、算出される相続税額がゼロ(0円)になる場合には、相続税の申告が必要です。
    本肢は、特例適用前の課税価格が5,000万円、遺産に係る基礎控除額が「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」と、特例適用を受けてはじめて算出税額がゼロになるので、申告が必要です。
  4. 申告が必要。「配偶者の相続税額の軽減」の適用を受けることにより、算出される相続税額がゼロ(0円)になる場合には、相続税の申告が必要です。
    本肢は、特例適用前の課税価格が6,000万円、遺産に係る基礎控除額が「3,000万円+600万円×1人=3,600万円」と、特例適用を受けてはじめて算出税額がゼロになるので、申告が必要です。
したがって相続税の申告をしなければならないものは「2つ」です。