FP1級 2020年1月 応用編 問54
問54
《設例》の〈W社・X社の財務データ等〉に基づき、Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。- W社とX社を自己資本当期純利益率で比較すると、W社の値が(①)%、X社の値が□□□%であり、W社の値のほうが上回っています。この自己資本当期純利益率について、売上高当期純利益率、使用総資本回転率、(②)の3指標に分解して、その要因分析を行うと、W社の使用総資本回転率は(③)回、(②)は(④)倍で、いずれもX社の値を上回っており、W社のほうが資本効率性が高いと評価することができます」
- W社とX社を財務的な安定性を測る指標であるインタレスト・カバレッジ・レシオで比較すると、W社の値が□□□倍、X社の値が(⑤)倍であり、X社のほうが財務的な余裕があるといえます」
- W社とX社を代表的な投資指標であるPERとPBRで比較すると、W社のPERは(⑥)倍、PBRは(⑦)倍で、いずれもX社の値を上回っており、W社株式のほうが相対的に割高であるといえます。また、配当性向で比較すると、W社の値が(⑧)%、X社の値が□□□%であり、W社のほうが株主への利益還元の度合いが高いといえます」
①% |
② |
③回 |
④倍 |
⑤倍 |
⑥倍 |
⑦倍 |
⑧% |
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正解
① 9.26(%) |
② 財務レバレッジ |
③ 0.66(回) |
④ 5.03(倍) |
⑤ 9.83(倍) |
⑥ 32.00(倍) |
⑦ 2.80(倍) |
⑧ 27.14(%) |
分野
科目:C.金融資産運用細目:5.株式投資
解説
〔①について〕自己資本当期純利益率は「当期純利益÷自己資本×100」で求めます。そして自己資本の額は、純資産の額から「新株予約権」と「非支配株主持分」の2つの除いた額です。
W社の財務データより、
自己資本:400,000-22,000=378,000
自己資本当期純利益率:35,000÷378,000×100=9.259…
(小数点以下第3位を四捨五入)9.26%
よって、正解は9.26(%)となります。
〔②について〕
自己資本当期純利益率を求める式は当期純利益自己資本、売上高当期純利益率は当期純利益売上高、使用総資本回転率は売上高総資本です。自己資本当期純利益率に存在しない売上高と総資本が約分で消えることを考えると、②を表す式は総資本自己資本であることがわかります。
当期純利益自己資本=当期純利益売上高×売上高総資本×総資本自己資本
自己資本比率の逆数であり、自己資本に対する総資本の割合を示す指標を「財務レバレッジ」といいます。④の単位が"倍"なので自己資本比率(単位は%)ではダメです。
よって、正解は財務レバレッジになります。
〔③について〕
使用総資本回転率は「売上高÷総資本」で求めます。W社の売上高は1,900,000、総資本は1,900,000ですから、
1,250,000÷1,900,000=0.657回
(小数点以下第3位を四捨五入)0.66回
よって、正解は0.66(回)になります。
〔④について〕
自己資本に対する総資本額の割合が入ります。単位は"倍"です。W社の財務データと①で求めた自己資本額より、
1,900,000÷378,000=5.0264…
(小数点以下第3位を四捨五入)5.03倍
よって、正解は5.03(倍)になります。
〔⑤について〕
インタレスト・カバレッジ・レシオは、営業利益から行われる借入金の利子の支払いが、どの程度余裕をもって行われているかを示す指標です。値が高いほど財務的に余裕があると判断されます。インタレストとは支払利息を意味します。
インタレスト・カバレッジ・レシオの算出式は以下の通りです。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=営業利益+受取利息+受取配当金支払利息+割引料※
X社の財務データの値を上記の式に代入すると、
55,000+200+1,8005,800=9.827…
(小数点以下第3位を四捨五入)9.83倍
よって、正解は9.83(倍)となります。
※FP検定では割引料が登場することは稀です。
〔⑥について〕
PERは「株価÷1株当たり当期純利益」で求めます。W社の財務データより、
1株当たり当期純利益:35,000÷200=175
PER(倍):5,600÷175=32.00倍
よって、正解は32.00(倍)となります。
〔⑦について〕
PBRは「株価÷1株当たり純資産」で求めます。W社の財務データより、
1株当たり純資産:400,000÷200=2,000
PBR(倍):5,600÷2,000=2.80倍
よって、正解は2.80(倍)となります。
なお、模範解答では1株当たり自己資本額で除した「5,600÷(378,000÷200)=2.96倍」でも可とされています。
〔⑧について〕
配当性向(%)は「年間配当金総額÷当期純利益×100」で求めます。W社の財務データより、
9,500÷35,000×100=27.142…
(小数点以下第3位を四捨五入)27.14倍
よって、正解は27.14(倍)になります。
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