FP1級過去問題 2020年9月学科試験 問1(改題)

問1

会社員のAさん(女性。1985年8月21日生まれ)は、2023年10月に第1子を出産予定である。Aさんが社会保険から支給を受けることができる給付等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、Aさんは、雇用保険、全国健康保険協会管掌健康保険および厚生年金保険の被保険者であり、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. Aさんが産前産後休業を取得した場合は、所定の手続により、その期間に係る厚生年金保険の保険料についてAさん負担分、事業主負担分のいずれも免除され、この免除された期間は、将来の年金額の計算上、保険料を納めた期間として扱われる。
  2. Aさんが産科医療補償制度に加入している医療機関で出産した場合は、所定の手続により、全国健康保険協会管掌健康保険から1児につき50万円の出産育児一時金の支給を受けることができる。
  3. Aさんが産前産後休業を取得し、その期間中に事業主から賃金が支払われなかった場合は、所定の手続により、全国健康保険協会管掌健康保険から出産手当金の支給を受けることができる。
  4. Aさんが産前産後休業後、育児休業を取得し、その期間中に事業主から賃金が支払われなかった場合は、所定の手続により、子が3歳に達するまでの間、雇用保険から育児休業給付金の支給を受けることができる。

正解 4

問題難易度
肢17.5%
肢24.4%
肢313.3%
肢474.8%

解説

  1. 適切。産前産後休業期間に係る厚生年金保険の保険料は、事業主が年金事務所に届け出ることで被保険者本人および事業主負担分ともに免除されます。この保険料の納付を免除された期間は将来の年金額の計算上、保険料納付済期間として扱われます(厚生年金法81条の2の2)。
  2. 適切。産科医療補償制度に加入している医療機関で、被保険者およびその被扶養者が出産した場合、1児につき50万円の出産育児一時金が支給されます。産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は1児につき48万8,000円となります(健保法令36条)。
    Aさんの妻が産科医療補償制度に加入している医療機関で予定日に出産した場合、Aさんは、所定の手続により、家族出産育児一時金として一児につき50万円を受け取ることができる。2022.1-2-3
    Aさんの妻が産科医療補償制度に加入している医療機関で予定日に出産した場合、Aさんは、所定の手続により、家族出産育児一時金として一児につき50万円を受け取ることができる。2015.10-2-3
    産科医療補償制度に加入している病院において、被保険者が出産した場合は出産育児一時金として50万円が支給され、被保険者の被扶養者が出産した場合は家族出産育児一時金として48万8,000円が支給される。2015.9-2-4
    被保険者が、2023年9月に産科医療補償制度に加入する医療機関で予定どおりに出産した場合の出産育児一時金の額は、1児につき50万円である。2014.9-1-1
  3. 適切。健康保険の加入者が産前産後休業を取得し、その期間中に事業主から賃金が支払われなかった場合、出産(予定)日以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産後56日目の範囲内で、出産手当金として1日につき標準報酬日額の3分の2相当額が支給されます(健保法102条)。
  4. [不適切]。育児休業給付金は、原則として、子が1歳に達する前日まで雇用保険から支給を受けることができます。1歳以後も育児休業をする場合は1歳6カ月まで、保育所等における保育の実施が行われないなどの理由により、1歳6カ月以後も育児休業を取得する場合は2歳まで延長できますが、3歳までは延長できません(雇用保険法61条の7)。
したがって不適切な記述は[4]です。