FP1級過去問題 2021年1月学科試験 問50

問50

会社法における種類株式に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、発行会社は、いずれも株式会社かつ取締役会設置会社であるものとする。
  1. 議決権制限株式は、発行会社が公開会社であるかどうかにかかわらず、その数が発行済株式総数の2分の1を超えてはならない。
  2. 発行会社が公開会社である場合、譲渡制限株式を発行することはできない。
  3. 取得請求権付株式は、一定の事由が生じたことを条件として、発行会社が株主に対して当該株式の取得を請求することができる株式である。
  4. 拒否権付株式は、株主総会または取締役会で決議すべき一定の事項について、当該決議のほか、当該種類株主による種類株主総会の決議が必要となる株式である。

正解 4

問題難易度
肢113.7%
肢212.3%
肢332.4%
肢441.6%

解説

株式会社は、余剰金の配当、残余財産の分配、議決権の行使等の扱いについて内容の異なる2種類以上の株式を発行することができます。ある会社が2種類以上の株式を発行している場合、これを「種類株式」と言います(会社法108条)。
  1. 不適切。議決権制限株式は、議決権について異なる定めがある株式です。発行会社が公開会社である場合、議決権制限株式の発行数は発行済株式総数の2分の1を超えてはなりませんが、公開会社以外の株式会社の場合、その発行数に制限は設けられていません(会社法115条)。
  2. 不適切。会社法上の定義では、公開会社とは「全部または一部の株式について譲渡制限を定めていない会社」とされています(会社法2条5号)。簡単に言うと、発行する株式のうち一部でも譲渡が自由にできるのであれば公開会社ということです。したがって、公開会社であっても2種類以上の種類株式を発行し、一部を譲渡制限株式とすることができます。
  3. 不適切。取得請求権付株式は、株主が会社に対して保有する株式の買取りを請求できる権利が付いた株式です(会社法2条18号)。本肢のように、一定の事由が生じたことを条件として、会社が株主に対して株式の取得を請求することができる株式は取得条項付株式と呼ばれます(会社法2条19号)。
  4. [適切]。拒否権付株式は、株主総会または取締役会で決議すべき一定の事項について当該決議のほか、当該種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を必要とする株式です(会社法108条1項8号)。この種類株式を保有している株主は、決議について拒否できる権利を有することになるので拒否権付株式と呼ばれます。
したがって適切な記述は[4]です。