FP1級過去問題 2021年1月学科試験 問49

問49

財産評価基本通達上の宅地の評価における「地積規模の大きな宅地の評価」の規定(以下、「本規定」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 本規定における地積規模の大きな宅地とは、市街化調整区域に所在する宅地等を除き、三大都市圏では500㎡以上、それ以外の地域では1,000㎡以上の地積の宅地をいう。
  2. 本規定は、路線価方式により評価する地域に所在する宅地が対象となり、倍率方式により評価する地域に所在する宅地は対象とならない。
  3. 都市計画において定められた容積率が300%(東京都の特別区においては200%)以上の地域に所在する宅地は、本規定の対象とならない。
  4. 本規定の適用を受ける場合の宅地の価額は、当該宅地の所在する地域、地積や地区区分に応じた規模格差補正率を用いて算出され、本規定の適用を受けない場合の価額よりも高くなる。

正解 1

問題難易度
肢155.6%
肢210.1%
肢316.3%
肢418.0%

解説

2017年(平成29年)までは、その地域の標準的な宅地と比較して著しく広大な宅地(広大地)については「正面路線価×広大地補正率×地積」の3要素のみで相続税評価をすることになっていました。この従前の評価方法については、広大地に該当するかどうかの基準が相対的であり、また広大地補正率を乗じて一律で減ずるだけで、各土地の形状等が考慮されないため時価との相違が著しいケースが生じていました。この問題を解消するために、広大地に該当するかどうかの基準を定量化し、各土地の個性に応じ、奥行価格補正や不整形地補正等などを加えて評価額を算出することにしたのが「地積規模の大きな宅地の評価」です。
  1. [適切]。地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏においては500㎡以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000㎡以上の地積の宅地をいいます。
  2. 不適切。本規定は、路線価地域および倍率地域のどちらの評価方法を採用する宅地でも適用対象となります。路線価地域にあっては、地積規模の大きな宅地のうち普通商業・併用住宅地区および普通住宅地区に所在するもの、倍率地域にあっては、地積規模の大きな宅地に該当するものであれば対象となります。
  3. 不適切。地積規模の大きな宅地から除かれるのは、以下のいずれかに該当する宅地はです。本肢は容積率の値が間違っています。
    • 市街化調整区域内の宅地
    • 工業専用地域内の宅地
    • 指定容積率が400%(東京23区においては300%)以上の地域にある宅地
    • 大規模工場用地
    市街化調整区域に所在する宅地(一定の開発行為を行うことができる区域を除く)、工業専用地域に所在する宅地、指定容積率が400%(東京都の特別区では300%)以上の地域に所在する宅地は、地積規模にかかわらず、本規定の対象とならない。2023.5-49-1
  4. 不適切。本規定の適用を受ける場合の宅地の価額は、路線価地域と倍率地域に応じて以下のように求めます。
    路線価地域に所在する宅地
    路線価×各種画地補正率×規模格差補正率×地積
    倍率地域に所在する宅地
    ①固定資産税評価額×所定の倍率と②標準的な1㎡当たりの価格×各種画地補正率×規模格差補正率×地積のいずれか低いほう
    各種画地補正率については本規定の適用の有無にかかわらず同じですが、その後に80%~95%の「規模格差補正率」を乗じることができるため、本規定の適用を受けたほうが、適用を受けない場合の価額よりも低く評価されます。
したがって適切な記述は[1]です。