FP1級 2021年1月 応用編 問51

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 X株式会社に勤務するAさん(42歳)は、妻Bさん(38歳)、長男Cさん(13歳)および二男Dさん(10歳)との4人暮らしである。Aさんは、大学時代から親交のあった友人が大病を患って入院したこともあり、健康保険の傷病手当金について知りたいと思っている。また、公的年金制度からの障害給付や遺族給付についても理解したいと考えている。
 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。Aさんの家族に関する資料は、以下のとおりである。

〈Aさんの家族に関する資料〉
  1. Aさん(本人)
    • 1978年7月20日生まれ
    • 公的年金の加入歴
      1998年7月から2001年3月までの大学生であった期間(33月)は、国民年金の第1号被保険者として保険料を納付している。
    • 2001年4月から現在に至るまで厚生年金保険の被保険者である(過去に厚生年金基金の加入期間はない)。
    • 全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者である。
    • 2001年4月から現在に至るまで雇用保険の一般被保険者である。
  2. Bさん(妻)
    • 1982年10月15日生まれ
    • 公的年金の加入歴
      2001年4月から2006年3月まで厚生年金保険の被保険者である。
      2006年4月から現在に至るまで国民年金の第3号被保険者である。
    • Aさんが加入する健康保険の被扶養者である。
  3. Cさん(長男)
    • 2007年9月5日生まれ
  4. Dさん(二男)
    • 2010年3月17日生まれ
  • 妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんは、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。
  • 家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問51

Mさんは、Aさんに対して、健康保険の傷病手当金について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。

 「Aさんが私傷病による療養のために連続して長期間労務に服することができず、その期間について事業主から給与が支払われない場合、Aさんは、()日目以降の労務に服することができない日について、全国健康保険協会の都道府県支部に対し、傷病手当金を請求することができます。
 仮に、傷病手当金の支給開始日の属する月以前の直近の継続した12カ月間のAさんの各月の標準報酬月額の平均額が36万円であり、傷病手当金の支給対象となる日について事業主から給与が支払われないとした場合、Aさんが受給することができる傷病手当金の額は、1日につき()円となります。傷病手当金の支給期間は、同一の疾病または負傷およびこれにより発した疾病に関しては、その支給開始日から通算して最長()です。
 なお、傷病手当金の支給対象となる日について事業主から給与が支払われる場合であっても、その支払われる給与の額が傷病手当金の額よりも少ないときには、その差額が傷病手当金として支給されます。また、同一の疾病または負傷およびこれにより発した疾病によって傷病手当金と障害厚生年金のいずれの支給要件も満たすときには、そのうち()は支給されません。ただし、受けることができる金額が()の額よりも少ないときには、その差額が()として支給されます」
日目
 
 

正解 

① 4(日目)
② 8,000(円)
③ 1年6カ月
④ 傷病手当金

分野

科目:A.ライフプランニングと資金計画
細目:4.社会保険

解説

〔①について〕
傷病手当金は、業務外の事由による病気やケガの療養のために仕事に就くことができず、連続して3日間会社を休んだとき、4日目以降の賃金支払いのない日について支給されます。
よって、正解は4(日目)となります。

〔②について〕
1日当たりの傷病手当金の額は、直近12ヵ月の標準報酬月額の平均を30分の1にして求めた報酬日額の3分の2相当額です。
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本問では直近12カ月間の標準報酬月額が36万円なので、

 360,000円÷30×23=8,000円

よって、正解は8,000(円)となります。

〔③について〕
傷病手当金の支給期間は、支給開始日から通算して最長1年6カ月です。休業4日目からではなく支給開始日からというのがポイントで、仮に休業開始1日目から20日目まで有給を使った場合には、休業21日目が起算日になるということです。
よって、正解は1年6カ月となります。

〔④について〕
傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の傷病につき厚生年金保険から障害手当金(障害等級3級に満たない特定の人に支給される一時金)を受け取れる場合には、その障害手当金の額に達するまでの傷病手当金は支給停止となります。
また、障害厚生年金の日額(360分の1にした額)が傷病手当金の日額以上であるときや、老齢や退職を事由とする公的年金を受給しているときも支給停止となります。
よって、正解は傷病手当金となります。