FP1級過去問題 2021年5月学科試験 問16

問16

日本銀行が実施している金融政策および金融調節に関する次の記述のうち、2021年1月現在の「当面の金融政策運営について」に照らし、最も不適切なものはどれか。
  1. 金融政策の運営方針である金融市場調節方針は、日本銀行政策委員会の金融政策決定会合において、政策委員による多数決によって決定される。
  2. 金融市場調節の主たる操作目標となっているマネーストックについて、消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続することとされている。
  3. 金融市場調節によるイールドカーブ・コントロールのもと、日本銀行当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用するとともに、10年物長期国債金利がゼロ%程度で推移するように長期国債の買入れを行うものとされている。
  4. 企業等の資金繰り支援や金融市場の安定維持を目的として、長期国債のほか、ETFやJ-REIT、CPや社債といった資産の買入れが行われている。

正解 2

問題難易度
肢114.9%
肢239.4%
肢321.9%
肢423.8%

解説

  1. 適切。日本銀行の金融政策の基本的な方針は、政策委員会の金融政策決定会合で決定されます。金融政策決定会合において、金融経済情勢の検討を行いその下で適切な金融市場調節方針を決定していて、議決は9名の政策委員による多数決によって行います。
  2. [不適切]。マネーストックは、民間の金融機関が社会に供給している資金量のことで、マネタリーベースとは、世の中に存在するすべてのお金の量のことです。
    マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続することとされています。
  3. 適切。金融政策決定会合で、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和政策の継続を賛成多数で決定され、短期金利は、引き続き日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用し、長期金利は、10年物国債 金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行うこととされました。
  4. 適切。企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるために、日本銀行は、CP・社債、ETFおよびJ-REITの積極的な資産買入れ方針が定められています。
したがって不適切な記述は[2]です。