FP1級過去問題 2021年5月学科試験 問17

問17

各種信託商品の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 暦年贈与信託は、あらかじめ委託者と受益者が定期の給付を目的とする贈与契約を締結して設定される信託であり、委託者が拠出する信託財産について、毎年のあらかじめ決められた日に均等額が受益者に給付される。
  2. 特定贈与信託は、特定障害者の生活の安定に資すること等を目的に設定される信託であり、委託者が拠出する信託財産について、受益者が特別障害者の場合は6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の場合は3,000万円を限度に贈与税が非課税とされる。
  3. 後見制度支援信託は、被後見人の生活の安定に資すること等を目的に設定される信託であり、信託契約の締結、信託の変更・解約等の手続があらかじめ家庭裁判所が発行する指示書に基づいて行われ、信託財産は金銭に限定されている。
  4. 遺言代用信託は、委託者の生存中は委託者が第一受益者となり、委託者の死亡後は委託者があらかじめ指定した者が第二受益者となる信託であり、第二受益者に対する給付は、一時金のほか、定期的に一定額を給付することも可能である。

正解 1

問題難易度
肢146.8%
肢214.8%
肢322.4%
肢416.0%

解説

  1. [不適切]。暦年贈与信託は、委託者が拠出した信託財産のうち毎年一定額を受益者に給付する信託です。本肢のように、毎年●円を▲年間贈与すると決める定期贈与契約だと、その総額が「定期金に関する権利」として贈与税の課税対象となるので、暦年贈与信託は、贈与を行うたびに贈与契約を締結する形をとります。
    暦年贈与信託は、あらかじめ委託者と受益者が定期の給付を目的とする贈与契約を締結して設定される信託であり、委託者が拠出する信託財産について、毎年のあらかじめ決められた日に均等額が受益者に給付される。2024.5-17-2
  2. 適切。特定贈与信託は、障がいを持つ方の家族等が信託銀行に金銭等を信託し、障がいを持つ方に対して一生涯にわたり生活費や医療費等に充てるための金銭を定期的に送る信託商品です。受益者の障害の程度により贈与税非課税限度額が設定されていて、受益者が特別障害者の場合は6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の場合は3,000万円を限度に贈与税が非課税となります。
    特定寄附信託は、特定障害者の生活の安定に資することを目的に設定される信託であり、委託者が拠出する信託財産について、受益者が特別障害者の場合は6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の場合は3,000万円を限度に贈与税が非課税とされる。2022.1-17-4
    特定贈与信託は、委託者が拠出する信託財産について、受益者が特別障害者の場合は8,000万円、特別障害者以外の特定障害者の場合は5,000万円を限度に贈与税が非課税とされる。2018.1-17-3
    特定贈与信託は、特定障害者の生活の安定に資することを目的に設定される信託であり、委託者が拠出する信託財産について、受益者が特別障害者の場合は6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の場合は3,000万円を限度に贈与税が非課税とされる。2016.1-17-4
  3. 適切。後見制度支援信託は、法定被後見人の財産保護と生活の安定を目的として、法定被後見人の財産のうち、日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託するものです(信託財産は金銭に限られる)。委託者=受益者となる自益信託で、交付等の手続きは家庭裁判所が発行する指示書に基づいて行われます。なお、本信託の対象となるのは法定被後見人だけですので、被保佐人、被補助人、任意被後見人は対象外です。
    後見制度支援信託は、被後見人の生活の安定に資すること等を目的に設定される信託であり、信託契約の締結、信託の変更・解約等の手続があらかじめ家庭裁判所が発行する指示書に基づいて行われ、信託財産は金銭だけでなく有価証券や不動産とすることができる。2024.5-17-3
    後見制度支援信託は、被後見人、被保佐人または被補助人の生活の安定に資することを目的として、家庭裁判所が発行する指示書に基づいて設定される信託であり、委託者を受益者とする自益信託である。2019.5-17-3
    後見制度支援信託は、被後見人の生活の安定に資することを目的に設定される信託であり、信託財産は金銭に限定されている。2018.1-17-4
    後見制度支援信託は、被後見人の生活の安定に資することを目的に設定される信託であり、信託契約の締結、変更、解約等の手続は家庭裁判所の指示書に基づいて行われる。2016.1-17-3
    後見制度支援信託では、信託契約の締結、一時金の交付、信託の変更・解約等の手続が、あらかじめ家庭裁判所が発行する指示書に基づいて行われる。2015.9-18-2
  4. 適切。遺言代用信託は、委託者から信託された財産の管理・運用を行い、委託者の生存中は委託者本人が(第一)受益者として給付を受け、委託者の死亡後はあらかじめ指定された人が(第二)受益者となって遺産の分配を受けるものです。一時金や年金での受取りなど、契約時に給付方法や額をあらかじめ決めておくことができます。
    遺言代用信託は、遺言書の保管や遺言の執行を信託銀行等に信託するものであり、委託者の生存中は委託者が第一受益者となり、委託者の死亡後は委託者があらかじめ指定した者が第二受益者となる。2024.5-17-4
    遺言代用信託は、委託者の生存中は委託者本人が受益者として給付を受け、委託者の死亡後には、委託者が信託設定にあたって作成した公正証書遺言がある場合に当該遺言により指定された者が給付を受けることができる仕組みである。2015.9-18-3
したがって不適切な記述は[1]です。