FP1級過去問題 2021年5月学科試験 問27

問27

居住者であるAさんの2023年分の各種所得の金額が下記のとおりであった場合の総所得金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとし、▲が付された所得金額は、その所得に損失が発生していることを意味するものとする。
27.png/image-size:518×256
  1. 50万円
  2. 55万円
  3. 60万円
  4. 75万円

正解 4

問題難易度
肢121.8%
肢28.5%
肢322.4%
肢447.3%

解説

損益通算する際には、控除する所得の順序が定められています。具体的には、①経常所得(事業所得、不動産所得、利子所得、配当所得、給与所得、雑所得)と、②臨時所得(総合譲渡所得、一時所得)、③山林所得、④退職所得に分け、下図のとおりの順序で通算を行います。
4/400.png/image-size:452×436
したがって、最初に経常・臨時のグループごとに第1次通算を行います。
①経常グループ
事業所得から不動産所得の損失を差し引いて求めます。損益通算の計算上、土地等の取得に要した借入金の利子は損益通算の対象外とされているので、不動産所得の損失のうち損益通算が可能額は「100万円-20万円=80万円」です。また雑所得の損失は全部が損益通算の対象外です。
よって、経常グループの合計所得は「50万円-80万円=▲30万円」です。
②臨時グループ
一時所得の180万円
次に第二次通算として、臨時グループの180万円から経常グループの▲30万円を差し引きます。

 180万円-30万円=150万円

損益通算後に残ったのは一時所得の150万円のみです。一時所得は総収入金額に算入する際に1/2にするので、総所得金額は、

 150万円×1/2=75万円

したがって[4]が正解です。

【参考】
一時所得の180万円から特別控除額50万円を控除すると考えてしまうかもしれませんが、一時所得の金額とは「収入額-支出額-特別控除額」の計算後の金額です。よって、さらに特別控除額を差し引くことはしません。