FP1級過去問題 2021年9月学科試験 問50(改題)

問50

「個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除」(以下、「本制度」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 先代事業者である贈与者は、贈与の日において60歳以上であること、贈与の日の属する年、その前年およびその前々年の確定申告書を青色申告書により提出していること等の要件を満たす必要がある。
  2. 後継者である受贈者は、贈与の日において18歳以上であること、贈与の直前において特定事業用資産に係る事業に従事していたこと等の要件を満たす必要がある。
  3. 特定事業用資産のうち、宅地等は400㎡以下の部分、建物は床面積800㎡以下の部分が本制度の対象となる。
  4. 後継者が特例受贈事業用資産に係る事業を廃止した場合には、やむを得ない理由がある場合等を除き、納税が猶予されている贈与税の全額と利子税を併せて納付する必要がある。

正解 1

問題難易度
肢139.6%
肢212.1%
肢330.2%
肢418.1%

解説

  1. [不適切]。贈与者が先代事業者である場合、廃業届を提出(見込み含む)していること、当年・前年・前々年に青色申告していることが必要です。しかし、60歳以上という年齢要件はありません。
  2. 適切。後継者である受贈者は、①贈与時に18歳以上であること、②円滑化法の認定を受けていること、③贈与の直前において先代から引き継いだ事業等に従事していることが必要です。
    後継者である受贈者は、贈与の時において、会社の代表権を有していること、贈与の直前において取締役や監査役等の役員等であること等の要件を満たす必要がある。2022.5-50-2
    先代経営者である贈与者は、贈与の時において、会社の代表権を有していないことが要件となり、有給の役員として残ることもできない。2022.1-50-1
    本特例の適用を受けるためには、受贈者である後継者は、受贈時において会社の代表権を有し、かつ、贈与の直前において会社の役員等でなければならない。2018.1-50-3
  3. 適切。本制度の対象となる特定事業用資産は、被相続人の事業の用に供されていた、宅地等については400㎡以下の部分、建物については床面積800㎡以下の部分が対象となりますが、一定の減価償却資産(固定資産税の課税対象となっているもの、営業用の自動車等)も対象に含まれます。
    本制度の対象となる特定事業用資産は、被相続人の事業の用に供されていた宅地等または建物に限られ、宅地等については400㎡以下の部分、建物については床面積800㎡以下の部分が対象となる。2019.9-50-2
  4. 適切。本制度の適用を受けた場合、後継者が特例を受けたその事業を廃止した場合には、やむを得ない理由がある場合等を除き、納税猶予を受けた贈与税の全額と利子税を併せて納付しなければなりません。
したがって不適切な記述は[1]です。