FP1級過去問題 2022年1月学科試験 問16(改題)

問16

米国の経済指標・金融政策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 米国のISM製造業景況感指数は、製造業の購買担当責任者を調査対象にした企業の景況感を反映した指標であり、一般に、50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退と判断される。
  2. 米国の雇用統計は、米国の労働省から毎月発表され、非農業部門雇用者数や失業率などの数値は、株式市場や為替市場などの市場参加者が注視する指標である。
  3. 連邦準備制度理事会(FRB)が開催する連邦公開市場委員会(FOMC)は、2023年12月、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を5.25~5.50%に据え置くことを決定した。
  4. テーパリングとは、量的緩和策による金融資産の買入額を徐々に減らしていくことであり、米国では2022年3月にテーパリングが終了し、その後政策金利が引き下げられた。

正解 4

問題難易度
肢113.5%
肢28.4%
肢317.7%
肢460.4%

解説

  1. 適切。ISM製造業景況感指数は、アメリカの製造業の景況感を示す指数のことで、製造業企業に対して「新規受注、生産、雇用、入荷状況、在庫」といった項目に関するアンケートを実施し、回答結果から指数を算出しています。一般に、数値が50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退と判断されます。
  2. 適切。米国雇用統計は、アメリカの雇用情勢を示す統計で、景気状況を探るうえで最も重要な経済指標のひとつです。アメリカの景気の実体を表す最新の数値として、為替、株式、金利などのマーケットにも影響を与えるため、非農業部門雇用者数と失業率などの数値は市場関係者が注視しています。
  3. 適切。FOMC(連邦公開市場委員会)は、2023年12月の会合で、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)レートの誘導目標レンジを5.25~5.50%に据え置くことを決定しました。
  4. [不適切]。政策金利は引き上げられています。テーパリングとは、中央銀行による量的緩和策を縮小することを目的として金融資産の買入れ額を徐々に減らしていくことです。米国では2021年11月にテーパリングの開始が決定され、2022年3月で終了しています。ゼロ金利政策を解除したため、政策金利は上昇しています。
したがって不適切な記述は[4]です。