FP1級過去問題 2022年1月学科試験 問17

問17

各種信託商品の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 遺言代用信託は、利用者本人が信託銀行等と信託契約を締結し、委託者である利用者本人を第一受益者、相続開始後はあらかじめ指定した配偶者等を第二受益者として設定する信託商品であり、財産の分配を信託により実現するものである。
  2. 後見制度支援信託は、利用者本人の判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、家庭裁判所に対して任意後見監督人の選任を請求し、委託者および受益者を利用者本人である任意被後見人、受託者を信託銀行等とする信託商品である。
  3. 教育資金贈与信託の委託者は、受益者の直系尊属であり、かつ、信託契約を締結する日において60歳以上の者とされている。
  4. 特定寄附信託は、特定障害者の生活の安定に資することを目的に設定される信託であり、委託者が拠出する信託財産について、受益者が特別障害者の場合は6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の場合は3,000万円を限度に贈与税が非課税とされる。

正解 1

問題難易度
肢137.2%
肢215.6%
肢312.5%
肢434.7%

解説

  1. [適切]。遺言代用信託は、本人の財産を信託銀行に信託し、生存中は自身を受益者(第一受益者)に、亡くなったあとは配偶者や親族等を受益者(第二受益者)とすることで、財産を分割することができる信託契約です。第二受益者には一時金のほか、定期的に一定額を給付するなど指定の方法で給付できます。
  2. 不適切。後見制度支援信託は、法定被後見人が対象となり、委託者本人の財産を保護し生活の安定に資するための信託で、信託する財産は金銭に限られます。委託者=受益者となる自益信託で、交付等の手続きは家庭裁判所が発行する指示書に基づいて行われます。なお、本信託の対象となるのは法定被後見人だけですので、被保佐人、被補助人、任意被後見人は対象外です。
  3. 不適切。教育資金贈与信託の委託者は、受益者の直系尊属であれば年齢制限はありません。ただし、受益者は30歳未満であることが要件になります。
  4. 不適切。特定寄附信託は、公益法人やNPO等に寄附をして社会貢献活動をすることが目的の信託です。特定障害者の生活の安定に資することを目的に設定される信託制度は特定贈与信託です。
したがって適切な記述は[1]です。