FP1級過去問題 2022年5月学科試験 問48

問48

相続税の申告および納付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 相続税の更正の請求は、原則として、法定申告期限から5年以内に限られるが、遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額が確定したことにより、当初の申告に係る相続税額が過大となったときは、確定したことを知った日の翌日から4カ月以内であれば、法定申告期限から5年を経過していたとしても、更正の請求をすることができる。
  2. 祖父の相続により財産を取得し、相続税の申告書を提出する必要がある父親が、提出期限前に当該申告書を提出しないで死亡した場合、父親の相続人である子は、原則として、父親の相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に、父親に代わり、祖父の相続に係る当該申告書を提出しなければならない。
  3. 期限後申告書を提出した者は、その申告書を提出した日の翌日から1カ月以内に当該申告書に記載した納付すべき相続税額と納付すべき相続税額に所定の割合を乗じた無申告加算税を納付しなければならない。
  4. 相続税額を納期限までに金銭で一時納付することを困難とする事由があり、納付すべき相続税額が10万円を超える場合、所定の手続により、延納が認められるが、分納税額を納付する際に利子税を併せて納付しなければならない。

正解 3

問題難易度
肢122.0%
肢222.5%
肢343.3%
肢412.2%

解説

  1. 適切。更正の請求ができる期限は、原則として相続税の申告期限から5年となっています。ただし、遺留分侵害額請求や遺産分割の確定などにより納税額が変動した場合、その事情が発生したことを知った日の翌日から4カ月以内であれば、5年を過ぎていても更正の請求を行うことができます。
  2. 適切。相続人(父)が提出しないで死亡した場合には当該相続人の相続人(子)に申告と納税の義務が承継されますが、最初の被相続人(祖父)が死亡した日から10か月以内だと期間が短くなってしまうので、子は、本来申告すべきだった相続人(父)が死亡した日の翌日から10か月以内に、最初の被相続人(祖父)の分も合わせて申告すればよいことになっています。
  3. [不適切]。相続税の申告書は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に提出・納税が必要になり、期限後の申告と納付には無申告加算税と延滞税が課されます。ただし、申告期限から1カ月以内に申告した場合は、期限後でも無申告加算税は課税されません。
  4. 適切。相続税の延納は、相続税額が10万円を超え、金銭で納付することを困難とする事由がある場合に、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として分割で納付することができる制度です。延納期間中は利子税の納付が必要となります。
    延納は、相続税額を納期限までに金銭で一時納付することを困難とする事由があり、納付すべき相続税額が10万円を超える場合、所定の手続により認められるが、分納税額を納付する際に利子税を併せて納付しなければならない。2014.1-45-1
したがって不適切な記述は[3]です。