FP1級過去問題 2022年9月学科試験 問3
問3
事業主が同一でない複数の事業所において雇用される労働者に係る労働保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。- 1つの事業所の業務上の負荷(労働時間やストレス等)で労災認定できない場合であっても、複数の事業所の業務上の負荷を総合的に評価して労災認定できる場合、労働者災害補償保険から保険給付が行われる。
- 複数の事業所で雇用される労働者が、そのうち1つの事業所において業務上の事由により負傷した場合、労働者災害補償保険の給付基礎日額は、当該労働者を雇用する事業所ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を基礎として算定される。
- 2つの事業所で雇用される65歳以上の労働者において、各事業所では1週間の所定労働時間は5時間以上20時間未満であるが、2つの事業所の1週間の所定労働時間を合計すると20時間以上となる場合、所定の要件を満たせば、雇用保険の高年齢被保険者となることができる。
- 2つの事業所に雇用されることで雇用保険の加入要件を満たし、雇用保険の高年齢被保険者となった65歳以上の労働者は、そのうち1つの事業所を離職しても、他方の事業所を離職するまでは、高年齢被保険者の資格を喪失しない。
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正解 4
問題難易度
肢15.1%
肢218.3%
肢314.3%
肢462.3%
肢218.3%
肢314.3%
肢462.3%
分野
科目:A.ライフプランニングと資金計画細目:4.社会保険
解説
- 適切。負傷、疾病、障害または死亡の原因や要因が発生したときに、事業主が同一ではない複数の事業場で就業している労働者は、複数事業労働者として労災保険の保険給付の対象となります。これまでは1つの事業場のみの業務上の負荷(労働時間やストレス等)を評価して労災認定の判断をしていましたが、ダブルワーカーが増えてきたことから、1つの事業場のみでは労災認定されない場合でも複数の事業場の業務上の負荷を総合的に評価して、労災認定の判断をするように改正されています。
- 適切。複数事業労働者の給付基礎日額は、それぞれの就業先の事業場ごとに算定した給付基礎日額を合算した額を基礎として決定されます。仮に事業所Aで25万円、事業所Bで10万円の賃金を得ていれば合計の35万円を基に保険給付が算定されるということです。これは、単一の事業所での業務を要因とする労災であっても複数業務要因災害であっても同じです(労災保険法8条3項)。
- 適切。主たる事業所での1週間の所定労働時間(以下、週労働時間)が20時間未満の人は、原則として雇用保険の適用外ですが、2つ以上の事業主に雇用されている65歳以上の労働者は、以下の全ての条件を満たせば、申出をすることにより高年齢被保険者となることができます。いわゆる「雇用保険マルチジョブホルダー」と呼ばれる制度です(2022年1月創設)。
- 各事業における週労働時間が5時間以上20時間未満
- 2つの事業所での週労働時間の合計が20時間以上
- 2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上
- [不適切]。高年齢被保険者の特例(雇用保険マルチジョブホルダー)により高年齢被保険者となった者が、片方の事業所を退職し、1つの事業所だけに雇用されることとなった場合、特例の要件を満たさなくなるので退職日から10日以内に高年齢被保険者の喪失の申出をしなければなりません(雇用保険法37条の5第2項)。
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