FP1級過去問題 2022年9月学科試験 問44
問44
民法における配偶者居住権に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。- 被相続人が相続開始時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合、配偶者は被相続人が所有していた共有持分に応ずる配偶者居住権を取得することができる。
- 配偶者居住権の存続期間は、遺産分割協議等において別段の定めがされた場合を除き、配偶者の終身の間とされている。
- 配偶者が取得した配偶者居住権を第三者に対抗するためには、配偶者居住権の設定の登記をしなければならない。
- 配偶者居住権は、譲渡することはできないが、配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得れば、当該居住建物を第三者に使用させることができる。
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正解 1
問題難易度
肢141.3%
肢29.7%
肢319.1%
肢429.9%
肢29.7%
肢319.1%
肢429.9%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:3.相続と法律
解説
- [不適切]。配偶者居住権を取得した配偶者は、居住建物の全部について終身にわたり無償で使用収益をする権利を得ます。遺言や遺産分割と関係がない第三者に無償の使用収益を受忍する負担を負わせるのは酷であることから、居住建物に被相続人やその配偶者以外の共有者が存在する場合には、配偶者居住権は成立しません(民法1028条)。この場合、その共有者から借り受けて居住する策があります。被相続人が相続開始時に居住建物を子と共有していた場合、被相続人の配偶者は被相続人が所有していた共有持分に応ずる配偶者居住権を取得することができる。(2024.5-45-1)
- 適切。配偶者居住権の存続期間は、原則として配偶者の終身の間となりますが、遺産分割協議や遺言に別段の定めがある場合は、その定めるところによります(民法1030条)。
- 適切。配偶者居住権は、登記をしなければ第三者に対抗することができません。所有者は配偶者居住権の登記を備えさせる義務を負います(民法1031条)。
- 適切。配偶者居住権は、被相続人と同居していた配偶者をそのまま自宅に住まわせるために認められる一身専属的な権利なので、第三者に譲渡することはできません。また、他の相続人所有の建物を借り受けて住んでいるようなものなので、所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築や増築をしたり、居住建物を第三者に使用収益させたりすることができません(民法1032条)。配偶者居住権は、相続開始後に配偶者が対象となる建物を引き続き居住の用に供していれば、その設定の登記をすることなく、第三者に対抗することができる。(2020.9-50-1)
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